四字熟語

一長一短(いっちょういったん)ってどんな意味?

一長一短(いっちょういったん)ってどんな意味?

毎日生活していると、「こっちもいいけれど、あっちもいいな」と、ついつい迷ってしまうことってありますよね。

たとえば、今日のおやつにチョコレートを食べるか、それともおせんべいを食べるか。

チョコレートは甘くて幸せな気持ちになりますが、手や口の周りが汚れてしまうかもしれませんね。

一方で、おせんべいは手が汚れにくいけれど、食べるときにボロボロとカスが落ちてしまうのが気になりますよね。

どちらにも「良いところ」と「ちょっと困るところ」があって、なかなか一つに決められない。

そんなときにぴったりの、まるで魔法のような四字熟語があるのをご存知でしょうか。

それが、一長一短(いっちょういったん)という言葉なんですね。

大人の方でも、お子さんと一緒に「これってどういう意味だろう?」と考えるのは、とても楽しい時間になるはずです。

もしかしたら、この言葉を知ることで、毎日の会話がちょっとかっこよく、そしてぐっと優しくなるかもしれませんね。

今日は読者のみなさんと一緒に、この不思議な言葉の秘密を探しに行きたいと思います。

きっと読み終わるころには、「明日から学校や家族との会話で使ってみたい!」とワクワクしているはずですよ。

良いところも、ちょっと困るところもある状態のこと

良いところも、ちょっと困るところもある状態のこと

まずは、この言葉がどんな意味を持っているのかを、一緒に見ていきましょう。

辞書などを引いてみると、少し難しい言葉で書かれていることもありますが、とてもシンプルなことなんですね。

一長一短とは、「良い面(長所)もあれば、ちょっと困る面(短所)もあって、どちらが絶対に良いとは決められない状態」のことを指しています。

世の中にあるものや、私たちが考えるアイデアには、完璧なものってなかなかありませんよね。

「これなら絶対に失敗しない!」という魔法のような方法は、もしかしたら存在しないのかもしれません。

どんなものにも、良いところと、もう少し頑張ってほしいところが含まれているものです。

実は、この言葉には「どんなものにも必ず良いところがある」という、誰かを責めない優しい視点が隠されているんですよ。

だからこそ、何かと何かを比べるときに、とても便利な言葉として使われているんですね。

たとえば、こんなふうに整理してみると分かりやすいかもしれませんね。

・「一長」の部分:そのものの良いところ、素敵なところ(長所)

・「一短」の部分:そのもののちょっと困るところ、足りないところ(短所)

この二つが、仲良くセットになっているのが「一長一短」なんですね。

お友達の良いところと、ちょっとおっちょこちょいなところを、両方ひっくるめて「それが〇〇さんの個性だよね」と受け入れるような、とても温かい意味を持っているそうですよ。

そう思うと、なんだかこの四字熟語がとても愛おしく感じてきませんか?

なぜ「長」と「短」なの?実はドラゴンの不思議なお話から!

なぜ「長」と「短」なの?実はドラゴンの不思議なお話から!

さて、意味が分かったところで、次はこの言葉がどうやって生まれたのか、その「由来(ゆらい)」のお話をしていきましょう。

「良いところ」と「悪いところ」という意味なのに、なぜ「長い」と「短い」という漢字が使われているのか、気になりますよね。

そこには、まるで映画や絵本のような、とても壮大で不思議なストーリーが隠されているんですね。

昔の中国のえらい人が書いた本がはじまり

この言葉のふるさとは、私たちが住む日本ではなく、海を渡った遠い国のお話になります。

今から約2000年も前の中国(漢の時代)に書かれた『論衡(ろんこう)』という古い本のなかに、この言葉のヒントが隠されていると言われています。

2000年前というと、日本ではまだお米作りが広まり始めたばかりのころですよね。

そんな大昔に、王充(おうじゅう)さんという、とても物知りな思想家(いろいろなことを深く考えるお仕事の人)がいました。

王充さんは、世の中の不思議なことや、生き物のひみつについて、毎日一生懸命考えて、本にまとめていたんですね。

そして、その本の中で、ある「伝説の生き物」について説明するときに、この言葉を使ったそうなんです。

その伝説の生き物とは、空を飛んだり水を操ったりする「竜(ドラゴン)」のことなんですね。

ドラゴンのお話から四字熟語が生まれるなんて、なんだかワクワクしてきませんか?

それでは、ドラゴンと「長い・短い」がどう関係しているのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

・王充(おうじゅう)さん:昔の中国のとても賢い人

・論衡(ろんこう):王充さんが書いた、世の中の不思議をまとめた本

ドラゴンの体が伸び縮みする?

昔の中国の人々は、ドラゴンは本当にいると信じていて、とても神聖な生き物として大切に考えていました。

そして、ドラゴンにはとても不思議なパワーがあると信じられていたんですね。

王充さんは本の中で、ドラゴンの性質についてこのように書いています。

「ドラゴンという生き物は、あるときは天高く舞い上がるために体を長〜く伸ばし、またあるときは水の中に隠れるために体を短く縮めることができる」

つまり、もともとの意味は「良い・悪い」ではなく、ドラゴンの体の長さが「あるときは長く、あるときは短く変化する」という、見た目の長さを表す言葉だったんです。

このドラゴンのように「伸びたり縮んだりして、いろいろな姿に変わること」を表現したのが、一長一短の本当のスタートだったというわけなんですね。

生き物の体が長くなったり短くなったりするなんて、まるで魔法使いのようですよね。

こんなかっこいい由来を知っていると、お友達やお家の人に「この言葉、もともとはドラゴンの体のことなんだよ!」と教えてあげたくなりますよね。

・春のドラゴン:天に昇るために、体を長くする

・秋のドラゴン:水に潜るために、体を短くする

こうした季節の変化とともに姿を変える生き物の不思議さが、言葉の中にぎゅっと詰まっているんですね。

意味が少しずつ変わっていった理由

でも、そこからどうして「良いところ・悪いところ」という意味に変わっていったのか、不思議に思いませんか?

それは、言葉というものが、長い時間をかけて人々の暮らしに合わせて少しずつ形を変えていくものだからなんです。

「長くなったり、短くなったりする」ということは、言い換えれば「いろいろな面を持っている」ということですよね。

いろいろな面を持っているということは、当然「良い面」もあれば「悪い面」もあるということになります。

また、「長」という漢字には「優れているところ(長所)」という意味があり、「短」という漢字には「劣っているところ、足りないところ(短所)」という意味が含まれています。

そのため、時代が進むにつれて、ドラゴンの体の長さというお話から離れていき、少しずつ今の意味に変化していったと考えられているんですね。

言葉の歴史をたどると、最初は目に見える「長さ」の話だったものが、人間の「性格」や、物事の「良し悪し」という目に見えないものを表すように進化していったのです。

これって、とても素敵な変化だと思いませんか?

きっと昔の人たちも、「どの方法がいいかなぁ」と悩んだときに、この言葉を使ってお互いの意見を認め合っていたのかもしれませんね。

・昔の使われ方:ドラゴンの体が「長くなったり、短くなったりする」こと

・今の使われ方:物事に「良いところも、ちょっと困るところもある」こと

どんなふうに使うの?楽しい3つのシチュエーション

意味と由来が分かったところで、ここからは「じゃあ、普段の生活でどんなふうに使えばいいの?」という疑問にお答えしていきましょう。

小学生のみなさんが毎日過ごしている「学校生活」、そして「おうちでの時間」、さらに「家族との会話」の3つの場面を用意してみました。

クスッと笑えるような楽しい会話を見ながら、使い方のコツを一緒につかんでいきましょうね。

学校生活編:どっちの係をやってみようかな?

新しい学期が始まると、クラスで「係(かかり)決め」がありますよね。

どの係になろうかな、とドキドキしながら悩むのも楽しい時間ですが、なかなか決められないことも多いのではないでしょうか。

そんなときに、お友達とこんな会話をしているかもしれません。

「ねえねえ、今学期はどの係にする?わたしは飼育係(しいくがかり)と、図書係(としょがかり)で迷ってるんだよね。」

「わかる!飼育係はウサギのお世話ができてすっごく楽しいけど、朝早く学校に来て小屋の掃除をしないといけないんだよね。」

「そうそう。図書係は、涼しい図書室で新しい本を一番にチェックできるけど、休み時間に外で遊べなくなっちゃうのがちょっと残念かな。」

「うーん、どっちの係も一長一短だね!どうしようかなぁ。」

いかがですか?とても自然な会話ですよね。

このように、二つ以上のものを比べて「こっちも良いけど、あっちも良い。でもどちらにも少し我慢するところがある」というときに使うのがポイントなんです。

実は、大人の世界でも同じように「どの案にしようか」と悩む会議の場で、この言葉が毎日たくさん飛び交っているんですよ。

子どもも大人も、悩むポイントは同じなんですね。

・飼育係の良いところ:動物と触れ合える

・飼育係の困るところ:朝早く来なければいけない

こうした状況をかっこよくまとめるのが、この四字熟語の力なんですね。

おうちでの日常編:ゲームをどの画面で遊ぼうか?

学校から帰ってきて、宿題も終わった後のお楽しみといえば、やっぱりゲームですよね。

最近のゲーム機は、テレビにつないで大画面で遊ぶこともできれば、本体を取り外して手元で遊ぶこともできます。

そんなとき、兄弟でこんな会話をしていませんか?

「お兄ちゃん、早くゲームやろうよ!テレビにつないで大画面でやろう!」

「大画面でやるのは迫力があって楽しいけど、お母さんがドラマを見始めたら交代しなきゃいけないんだよね。」

「そっか。じゃあ、携帯モード(小さな画面)でやろうよ。これなら自分の部屋でも、ゴロゴロしながらでも遊べるよ!」

「でも携帯モードだと、画面が小さくて文字が読みにくいし、充電がすぐ切れちゃうんだよなぁ。」

「ほんとだね。テレビと携帯モード、どっちの遊び方も一長一短だね。よし、今日はお母さんが来るまでテレビで遊ぼう!」

この会話のように、「良いところ」と「ちょっと困るところ」を順番に口に出して整理したあとに、最後にまとめる言葉として使うと、とても説得力が出ますよね。

物事を一つだけの方向から見るのではなく、いろいろな角度から見つめることができる、とても賢い話し方だと言えます。

ゲームの遊び方一つをとっても、こんなふうに考えることができるなんて、素敵なことだと思いませんか?

・テレビモード:画面が大きいけれど、場所が限られる

・携帯モード:どこでも遊べるけれど、画面が小さくて充電が減る

このように整理するクセをつけると、考える力もぐんぐん伸びていきそうですね。

家族との会話編:日曜日のお出かけ先はどこにする?

休日の前の夜、家族みんなで「明日はどこに行こうか?」と相談する時間は、とてもワクワクしますよね。

お父さんやお母さん、そしてお子さんの意見が飛び交う、温かい家族の会議です。

「明日は久しぶりに、大きな遊園地に行きたいな!ジェットコースターに乗りたい!」

「遊園地は一日中遊べて最高だね。でも、日曜日はすごく混んでいて、乗り物に乗るのに2時間も並ぶかもしれないよ。お金もたくさんかかっちゃうしね。」

「それなら、近所の大きな公園はどう?芝生でボール遊びができるし、お金もかからないから、その分帰りに美味しいアイスクリームが食べられるかも!」

「公園はのびのび遊べていいけど、派手な乗り物はないから、夕方にはちょっと飽きちゃうかもしれないね。」

「うーん、遊園地も公園も、それぞれ一長一短があるなぁ。じゃあ明日は、午前中に公園で思い切り遊んで、お昼からアイスを食べて映画を見るのはどう?」

とても素敵な家族の話し合いですよね。

一長一短という言葉を使うと、「あなたの意見も良いけれど、こういう心配もあるね」と、相手の意見を否定せずに優しく受け止めることができるんです。

実はこの言葉は、ただ比べるだけではなく、人と人とがケンカせずに仲良く話し合いを進めるための、お守りのような役割も果たしてくれているんですね。

「どっちも一長一短だね」と笑い合えれば、きっとどんな場所に行っても楽しい休日になるはずです。

・遊園地:すごく楽しいけれど、混んでいてお金がかかる

・公園:お金がかからずのびのびできるけれど、派手な遊びはない

こんなふうに家族で話し合うときに、ぜひ一度使ってみてくださいね。

おまけの豆知識:似ている言葉にご用心!

さて、楽しい使い方を見てきましたが、ここで一つ「おまけの豆知識」をご紹介しましょう。

言葉の世界には、音が似ていたり、漢字が似ていたりして、つい間違えてしまいそうになる「そっくりさん」がたくさんいるんです。

間違えないように、一緒に確認しておきましょうね。

「一朝一夕」とはどう違うの?

一番間違えやすいのが、「一朝一夕(いっちょういっせき)」という四字熟語です。

声に出して読んでみると、「いっちょういったん」と「いっちょういっせき」、なんだかリズムがとても似ていますよね。

でも、意味はまったく違うので注意が必要なんです。

「一朝一夕」は、「ひとつの朝と、ひとつの夕方」という意味から、「ほんのわずかな短い時間」ということを表している言葉なんですね。

よく、「こんなに難しいピアノの曲は、一朝一夕には弾けるようにならないよ(すぐにはできないよ)」というふうに使われます。

「一長一短」は良いところと悪いところのバランスのお話ですが、「一朝一夕」は時間のお話なんですね。

もしお友達が間違えて使っていたら、「一朝一夕は時間のことだよ。良い・悪いのときは一長一短だよ!」と、優しく教えてあげてくださいね。

・一長一短(いっちょういったん):良いところと悪いところ

・一朝一夕(いっちょういっせき):短い時間、あっという間

この二つの違いを知っていると、ちょっとした言葉の博士になれるかもしれませんよ。

「帯に短し、たすきに長し」との違いは?

もう一つ、似たような意味で使われがちな昔のことわざに、「帯に短し、たすきに長し(おびにみじかし、たすきにながし)」というものがあります。

「長」と「短」が入っているので、同じ意味なのかな?と思ってしまいますよね。

でも、ここにも少しだけ違いがあるんです。

「帯に短し〜」のほうは、「中途半端で、結局どちらの役にも立たない」という、少し残念な意味合いが強い言葉なんです。

帯(着物を結ぶひも)にするには短すぎて届かないし、たすき(袖をまくるひも)にするには長すぎて邪魔になる、という着物のお話から来ています。

一長一短のほうは、「良いところもある」と前向きな部分も認めているのに対し、こちらは「どっちにも使えなくて困った!」という状況を表しているんですね。

言葉のニュアンス(少しの雰囲気の違い)を知ると、日本語って本当に奥が深くて面白いなぁと思いませんか?

・一長一短:良いところもあるから迷っちゃう!

・帯に短したすきに長し:どっちつかずで役に立たなくて困った!

こんなふうに整理しておくと、もう迷うことはありませんね。

「どっちも良いね」と相手を認める優しい言葉

ここまで、たくさんのことを一緒に見てきましたね。

少し長くなってしまいましたが、みなさん楽しく読んでいただけたでしょうか。

ここで、今日お話しした大切なポイントを、もう一度おさらいしてみましょう。

この言葉は、物事には「良いところ(長所)」と「ちょっと困るところ(短所)」の両方があって、一概には決められないことを表しています。

もともとは、はるか昔の中国で、ドラゴンの体が「長くなったり短くなったりする」不思議な様子から生まれた言葉でしたよね。

それが長い時間をかけて、「どんなものにも色々な面がある」という、相手の個性を認めるような優しい意味に変わっていったのです。

私たちが普段の生活で「どっちにしようかな」と迷うのは、決して悪いことではありません。

迷うということは、それだけ物事を真剣に、そして色々な角度から見つめようとしている証拠なんですね。

お友達の意見とお家の方の意見、それぞれ違うことがあっても、「どっちも一長一短があって面白いね!」と言い合えれば、もっともっと仲良くなれる気がしませんか?

・どんなものにも良いところがあることを認める

・相手の意見を否定せずに、優しく話し合う手助けになる

言葉というのは、ただの記号ではなくて、人と人の心をつなぐための素敵な道具なんですね。

さあ、明日からどんどん使ってみましょう!

言葉の不思議な旅、いかがでしたか?

四字熟語と聞くと、なんだか難しくて堅苦しいお勉強のようなイメージがあったかもしれません。

でも、ドラゴンのようなワクワクするお話や、毎日の生活にぴったり当てはまることを知ると、少し身近に感じてもらえたのではないでしょうか。

「一長一短」は、私たちが毎日を楽しく、そして賢く生きるためのちょっとしたヒントをくれる言葉です。

明日、学校で係を決めるとき、お友達とお休みの日の遊び方を相談するとき、あるいは今日の夕ご飯のおかずをハンバーグにするかカレーにするか迷ったとき。

ぜひ、「うーん、どっちも一長一短だね!」と、少し大人びた笑顔で使ってみてくださいね。

きっと周りの人も「おっ、かっこいい言葉を知ってるね!」と驚いてくれるはずですよ。

お父さんやお母さんも、お子さんが何かに迷っているときに「どの方法にも一長一短があるから、一緒にゆっくり考えようね」と声をかけてあげてみてください。

・失敗を恐れず、色々な面から物事を考える力がつく

・親子の会話が、もっと深く、楽しいものになる

言葉を知ることは、世界を広げることと同じです。

これからも、たくさんの素敵な言葉に出会って、みなさんの毎日がもっともっと豊かで楽しいものになりますように、心から応援しています。

最後まで一緒に言葉の旅を楽しんでくださり、本当にありがとうございました!