
学校の勉強やスポーツ、おうちのお手伝いなどで、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
普段からよく使う一生懸命(いっしょうけんめい)ですが、実は昔は「一所懸命」と書かれていたことを知っていますか。
一生懸命とは、持っている力を尽くして、物事に真剣に取り組むことを意味します。
この記事では、一生懸命の意味・読み方・由来、「一所懸命」との違い、学校や家庭で使える例文、似た四字熟語をわかりやすく解説します。
一生懸命の意味と読み方
一生懸命は、「いっしょうけんめい」と読みます。
意味は、持っている力を尽くして、物事に真剣に取り組むことです。
辞典では、命がけで物事に取り組むことや、ひたむきに努力することとして説明されています。
ただし、日常会話では、本当に命を危険にさらすという意味に限りません。
例えば、難しい算数の問題を一生懸命考えたり、運動会で最後まで一生懸命走ったりする場面でも使えます。
一生懸命は成功したときだけ使うの?
いいえ。一生懸命は、成功したときだけに使う言葉ではありません。
例えば、「一生懸命練習したけれど、試合には負けてしまった」という文章も自然です。
一生懸命が表しているのは、結果よりも、真剣に取り組んでいる姿勢だからです。
もちろん、努力すれば必ず成功するという意味でもありません。
一生懸命の由来は「一所懸命」
一生懸命という言葉のもともとの形は、一所懸命(いっしょけんめい)です。
その由来は、中世の日本で暮らしていた武士たちと深く関係しています。
武士にとって土地は大切なものだった
昔の武士にとって、土地は生活を支える大切なものでした。
武士などが支配していた土地を、所領(しょりょう)といいます。
所領から得られる収入は、武士やその家族が暮らしていくための大切な支えでした。
そのため、武士は土地を守るために、大きな力を注いでいました。
「一所懸命」は、もともと武士が生活のよりどころである所領を、命がけで守ろうとすることに関係した言葉です。
「一所懸命の地」という表現も使われていました。
ここでいう「一所」は、現代の「一つの場所」よりも、武士が生活の基盤としていた所領という意味で理解するとよいでしょう。
なぜ「一所」が「一生」になったの?
「一所懸命」は、次第に土地を守ることだけでなく、命がけで物事に取り組むという意味でも使われるようになりました。
そして、「一所」と「一生」の音が似ていることから、両方の表記が使われるようになりました。
現在では「一生懸命」という形が広く定着しています。
ただし、ある一人の人物が漢字を変えたとか、武士の時代が終わった日に表記が変わったというわけではありません。
長い時間をかけて、言葉の意味や書き方が変化したと考えましょう。
「一生懸命」と「一所懸命」はどちらが正しい?
結論からいうと、どちらも正しい日本語です。
ただし、読み方と使われ方には違いがあります。
- 一生懸命(いっしょうけんめい):現代の文章で広く使われる表記。力を尽くして真剣に取り組むこと。
- 一所懸命(いっしょけんめい):歴史的にもとの形に当たる表記。現在でも、一生懸命と近い意味で使われることがある。
学校の作文で「一生懸命練習しました」と書くのは、自然で正しい使い方です。
一方、歴史の授業で武士の土地に関する言葉を説明するときには、「一所懸命」が登場することがあります。
なお、「一所懸命」は誤字ではありません。現代でも使われる表現です。
「一生」と書いても、一生涯続ける意味ではない
「一生懸命」の「一生」を見ると、「生まれてから亡くなるまで、ずっと頑張ることなのかな?」と思うかもしれません。
でも、そういう意味ではありません。
例えば、10分間の発表練習に力を尽くした場合でも、「一生懸命練習した」と言えます。
一生懸命は、取り組む時間の長さではなく、そのときの真剣さや力の尽くし方を表す言葉です。
「懸命」という漢字の意味も覚えよう
一生懸命の中にある「懸命(けんめい)」は、力の限り努めることを表します。
「懸」という漢字には、かけるという意味があります。
「命」は、人のいのちのことです。
「命を懸ける」という強い表現から、できる限りの力を出して取り組む意味につながります。
似た漢字を使う「懸命な努力」「懸命に走る」という表現も覚えておくとよいですね。
一生懸命の使い方と例文
一生懸命は、学校や家庭、仕事など、さまざまな場面で使えます。
例文① 学校の勉強で使う場合
「苦手な算数の問題を、一生懸命考えた。」
難しい問題でも、真剣に取り組んでいる様子です。
例文② 運動会で使う場合
「運動会のかけっこでは、最後まで一生懸命走った。」
順位に関係なく、力を出して走ったことを表しています。
例文③ 家族のために絵を描く場合
「妹は、お母さんの誕生日に渡す絵を一生懸命描いていた。」
相手を喜ばせたい気持ちを込めて、真剣に絵を描いている場面です。
例文④ お手伝いで使う場合
「初めてのお風呂掃除だったけれど、一生懸命頑張った。」
慣れていないことでも、精一杯取り組んだことを表しています。
例文⑤ 仕事で使う場合
「初めて任された仕事に、一生懸命取り組んだ。」
責任を持って仕事に取り組む様子を表しています。
例文⑥ 結果が出なかった場合
「一生懸命練習したけれど、今回は優勝できなかった。」
成功しなかった場面でも、一生懸命を使うことができます。
一生懸命は、成功したかどうかではなく、真剣に力を尽くしている様子を表す言葉です。
一生懸命と似た意味の言葉
精一杯(せいいっぱい)
精一杯は、自分にできる限りの力を尽くすことです。
例文:「応援してくれた人たちのために、精一杯頑張った。」
一生懸命と意味が近く、日常会話でもよく使われます。
全力(ぜんりょく)
全力は、持っている力をすべて出すことです。
例文:「ゴールまで全力で走った。」
一生懸命が真剣な取り組みを表すのに対し、全力は力を出し切ることに重点があります。
一心不乱(いっしんふらん)
一心不乱は、ほかのことに気を取られず、一つのことに心を集中することです。
例文:「大好きな本を一心不乱に読んでいた。」
一生懸命と似ていますが、特に集中している状態を強調します。
一心不乱は、努力だけでなく、遊びや趣味に夢中になっている場合にも使えます。
粉骨砕身(ふんこつさいしん)
粉骨砕身は、力の限り努力することを意味する四字熟語です。
骨を粉にし、体を砕くほど努力するという、非常に強い表現です。
例文:「チームのために粉骨砕身の努力を重ねた。」
改まった場面や文章で使われることがあります。
もちろん、本当に骨を砕くという意味ではありません。
一生懸命の反対の意味に近い言葉
一生懸命に、必ず一つだけ対応する決まった対義語があるわけではありません。
反対の意味に近い表現には、次のようなものがあります。
手を抜く
必要な努力や作業を省くことです。
例文:「最後の確認で手を抜いたため、間違いを見落としてしまった。」
いい加減に取り組む
十分に注意を払わず、適当に取り組むことです。
例文:「宿題をいい加減に終わらせたので、間違いがたくさん残っていた。」
なお、休憩したり、体調に合わせて作業を減らしたりすることが、必ずしも「手を抜く」という意味になるわけではありません。
一生懸命と初志貫徹の違い
似た場面で使える四字熟語に、初志貫徹(しょしかんてつ)があります。
初志貫徹とは、最初に決めた目標や志を、最後まで貫き通すことです。
一生懸命は、今取り組んでいることに力を尽くす姿勢を表します。
一方、初志貫徹は、初めに決めた目標を最後までやり通すことに重点があります。
例えば、毎日の練習に真剣に取り組むことは「一生懸命」、大会出場という目標を最後まで追い続けて実現することは「初志貫徹」と表現できます。
一生懸命を使うときの注意点
一生懸命は無理をすることではない
一生懸命という言葉には、真剣に取り組むという意味があります。
しかし、体調が悪いのに運動を続けたり、休まずに勉強し続けたりする必要はありません。
危険なときや疲れているときは、休むことも大切です。
ほかの人と努力を比べすぎない
人によって得意なことや、できることの量は違います。
同じ時間に終わらなかったとしても、それだけで一生懸命取り組んでいなかったとはいえません。
相手の努力を決めつけず、その人がどんなふうに取り組んだのかを見ることが大切ですね。
一生懸命を英語で表すと?
一生懸命に近い意味を英語で表すときは、状況に合わせて言葉を選びます。
Try hard
一生懸命努力するという意味です。
例文:「I tried hard.」
「私は一生懸命頑張りました。」
Do one's best
できる限りの力を尽くすという意味です。
例文:「I did my best.」
「私は精一杯頑張りました。」
With all one's might
持っている力を振り絞って、という意味です。
例文:「He pushed the door with all his might.」
「彼は力いっぱいドアを押しました。」
日本語の一生懸命と完全に一致する表現が一つだけあるわけではないので、伝えたい場面に合わせて使い分けましょう。
親子でチャレンジ!一生懸命の3択クイズ
問題:一生懸命の意味として正しいのはどれ?
- 一生の間、同じ仕事だけを続けること。
- 何かを始めたら、必ず成功すること。
- 持っている力を尽くして、真剣に取り組むこと。
答えと解説を見る
正解は③です。
一生懸命は、持っている力を尽くして真剣に取り組むことを意味します。
①のように、一生ずっと同じことをするという意味ではありません。
②のように、必ず成功するという意味でもありません。
結果だけでなく、取り組んでいる姿勢に注目した言葉です。
一生懸命についてよくある質問
Q. 一生懸命の読み方は?
「いっしょうけんめい」と読みます。
Q. 一生懸命は四字熟語ですか?
はい。小学館『四字熟語を知る辞典』や、漢字ペディアなどにも掲載されている四字熟語です。
Q. 一生懸命の由来は?
中世の武士が、生活の基盤となる所領を命がけで守ろうとしたことに関係する「一所懸命」という言葉に由来します。
Q. 「一生懸命」と「一所懸命」はどちらが正しい?
どちらも正しい日本語です。日常の作文や一般的な文章では、「一生懸命」が広く使われています。
Q. 一生懸命と一心不乱は同じ意味ですか?
似ていますが、完全に同じではありません。一生懸命は真剣に力を尽くすこと、一心不乱は一つのことに集中することを表します。
Q. 一生懸命頑張っても失敗したときに使えますか?
はい。「一生懸命練習したけれど、試合には負けた」という使い方ができます。
Q. 一生懸命は長い時間続けることですか?
いいえ。短い時間でも、真剣に力を尽くして取り組んでいれば「一生懸命」と表現できます。
Q. 一生懸命の反対の言葉は?
反対の意味に近い表現に「手を抜く」「いい加減に取り組む」などがあります。ただし、完全に対応する対義語とは限りません。
まとめ|一生懸命は力を尽くして真剣に取り組むこと
一生懸命(いっしょうけんめい)とは、持っている力を尽くして、物事に真剣に取り組むことを表す四字熟語です。
今回のポイントを振り返りましょう。
- 読み方は「いっしょうけんめい」。
- 力を尽くして真剣に取り組むことを意味する。
- もともとの形は「一所懸命」。
- 中世の武士が生活の基盤となる所領を大切にしたことに関係している。
- 現在は「一生懸命」という表記が一般的。
- 成功した場合だけでなく、結果が出なかった場合にも使える。
- 「一心不乱」「粉骨砕身」などは似た意味の四字熟語。
一生懸命という言葉は、学校や家庭、仕事など、身近な場面で使えます。
次に誰かが真剣に取り組んでいる姿を見たら、「一生懸命頑張っているね」と伝えてみてください。
結果だけでなく、その人が力を尽くしたことにも目を向けられるとよいですね。