四字熟語

馬耳東風(ばじとうふう)ってどんな意味か知ってる?

馬耳東風ってどんな意味か知ってる?

こんにちは。

毎日生活していると、テレビや本、あるいは学校の授業などで、いろいろな言葉に出会いますよね。

その中には、なんだか難しそうな漢字が四つ並んだ「四字熟語」というものがあることに、もう気がついているかもしれませんね。

漢字が四つ並んでいるだけで、ちょっと大人っぽくてかっこいい感じがしますよね。

今回、私たちと一緒に見ていくのは、馬耳東風ばじとうふうという四字熟語です。

漢字の並びをじっくり見てみてくださいね。

「馬」と「耳」、そして「東」と「風」という、動物や自然を表す漢字が集まっていますね。

これらが合わさると、いったいどんな意味になるのか、気になりますよね。

実はこの言葉、私たちも毎日の生活の中で、ついついやってしまう「ある態度」を表している、とてもおもしろい言葉なんですね。

「もしかして、あの時の私のことかも?」なんて、思い当たるフシがあるかもしれませんよ。

大人も子どもも思わず「へぇ〜!」と驚いてしまうような、この言葉の隠された秘密や、歴史のストーリーを、これから一緒に探検していきましょう。

馬耳東風が表す「ある態度」とは?

馬耳東風が表す「ある態度」とは?

それではさっそく、この四字熟語がどんな意味を持っているのかをお話ししていきますね。

漢字だけを見ると、馬の耳のそばを風がそよそよと吹いている、のどかな風景を想像するかもしれませんね。

でも、この言葉が本当に伝えたいのは、自然の風景のことではないんですね。

実は、人間の「ある態度」を例えた言葉なんですよ。

馬耳東風とは、ズバリ、他人の意見や大切な注意を、まったく気にせずにスーッと聞き流してしまうことという意味なんです。

お友達からのアドバイスや、周りの人からの「もっとこうしたらいいよ」という大切な言葉を、心の中に留めないでスルーしてしまう状態ですね。

想像してみてくださいね。

たとえば、お家でお母さんが「そろそろ宿題をやりなさいよ!」と何度言っても、テレビの画面から目を離さずに「へー」とか「ふーん」とだけ返事をして、ちっとも動こうとしないことはありませんか?

お母さんやお父さんが一生懸命に大事なことを伝えているのに、右の耳から入って左の耳へと抜けていってしまうような、そんな態度のことなんですね。

ただの雑談や、どうでもいいおしゃべりを聞き流すのとは少し違います。

相手が自分のことを思って言ってくれた「忠告」や、「ここを直した方がいいよ」という「批評」を受け止めないで、どこ吹く風とばかりに知らん顔をしている。

そんなちょっと困った態度のことを、昔の人はこんな素敵な漢字四文字で表現したんですね。

「あ、それって私のお兄ちゃんのことだ!」とか、「お父さんもお母さんの話を聞いてない時があるぞ」なんて、身近な人の顔が思い浮かんだかもしれませんね。

言葉の意味がわかると、毎日の出来事が少し面白く見えてくるから不思議ですよね。

どうして馬の耳に風が吹くの?歴史を紐解いてみよう

どうして馬の耳に風が吹くの?歴史を紐解いてみよう

さて、意味は「人の話を気にも留めずに聞き流すこと」だとわかりましたね。

でも、ここで一つの大きな疑問が浮かんできませんか?

「人の話を聞き流すことと、馬の耳や風と、いったいどんな関係があるの?」と気になりますよね。

実は、この四字熟語には、とっても古くてロマンチックな誕生のストーリーがあるんです。

歴史の旅に出発して、その謎を解き明かしていきましょう。

唐の天才詩人の「愚痴」から生まれた?

時間をずーっと巻き戻して、今からずっと昔の外国へ行ってみましょう。

この言葉が生まれたのは、約1300年前の中国(唐の時代)の天才詩人、李白(りはく)の詩が始まりだと言われているんですね。

李白さんは、中国の歴史の中でもトップクラスに有名な、天才的な詩人です。

美しい自然の風景や、お酒を飲む楽しさ、お友達との友情などを、たくさんの素晴らしい詩に残しました。

そんな李白さんには、「王十二(おうじゅうに)」という名前の仲良しのお友達がいました。

あるとっても寒い冬の夜のことです。

王十二さんは一人でブルブルと震えながら、いろいろなことを考えて悩んでいました。

「僕たちは毎日一生懸命に、素晴らしい詩や文章を書いているのに、世の中の偉い人たちはちっともわかってくれないじゃないか」

「お金持ちになったり、出世したりすることばかり気にして、僕たちの芸術の価値に気づいてくれないんだ」

王十二さんは、そんな悔しい気持ちや愚痴を長いお手紙にして、大親友の李白さんに送ったんですね。

そのお手紙を受け取った李白さんは、「うんうん、君の言う通りだよね。僕も同じ気持ちだよ」と深く共感しました。

そして、王十二さんを励ますために、お返事の詩を書きました。

その詩のタイトルは『答王十二寒夜独有懐(おうじゅうにのかんやひとりおもいあるにこたう)』といいます。

なんだか呪文のように長くて難しいタイトルですが、「寒い夜に一人で悩んでいた王十二くんへのお返事だよ」という、とっても優しい意味なんですね。

そのお返事の詩の中で、李白さんはこう言いました。

「僕たちがどんなに心を込めて素晴らしい詩を作っても、世の中の人たちはそれを聞いても何も感じてくれない。それはまるで、〇〇のようだよ」

この〇〇の部分で使われた表現こそが、今回の四字熟語の正体なんですね。

「東風」ってどっちから吹く風のこと?

李白さんが使った表現の秘密に迫る前に、「東風(とうふう)」という言葉について考えてみましょう。

東から吹く風、と書きますよね。

実は中国や日本などの地域では、東風とは、寒い冬が終わって春の訪れを告げるあたたかい春風のことを意味しているんです。

厳しい寒さの中でじっと耐えていた木々や動物たちが、東から吹いてくるポカポカとした風を感じて、「あぁ、やっと春が来たんだなぁ」と喜ぶ、そんな優しい風のことです。

私たち人間も、冷たい北風が吹く冬が終わって、春のあたたかい風が頬をなでると、とっても幸せな気持ちになりますよね。

きれいな梅の花が咲き始めたり、桜のつぼみがふくらんだりするのを見て、心がウキウキして感動するはずです。

つまり東風というのは、人を感動させたり、心を動かしたりする「素晴らしいもの」の例えとして使われているんですね。

では、なぜ「馬の耳」だったの?

春のあたたかい風(東風)がどれだけ素晴らしいものか、よくわかりましたね。

人間なら誰だって、春風が吹けば嬉しくなって心を動かされます。

でも、これが「馬」だったらどうでしょうか?

馬が草原に立っていると想像してみてくださいね。

そこに、春を告げる素晴らしい東風がそよそよと吹いてきて、馬の耳を撫でていきます。

人間なら「わあ、春だ!」と感動するところですが、馬は「ふーん」といった顔で、草をモシャモシャと食べるばかり。

馬にとって春風は、ただの風にすぎず、ちっとも感動したり喜んだりしないんですね。

李白さんは、この様子を見て思いついたんです。

「そうだ!僕たちの素晴らしい詩を世間の人たちに聞かせても、何も感動してくれない様子は、まるで馬の耳に春風が吹いているのと同じだ!」と。

つまり、どんなに素晴らしいものや大事な言葉であっても、価値がわからない相手や、聞く気がない相手にはまったく通じないということを言いたかったんですね。

これが時代とともに少しずつ変化して、今の日本のように「人の意見や注意を気にもしないで聞き流す」という意味で使われるようになったと言われているんですね。

大昔の天才詩人が、友達と一緒に世の中への愚痴をこぼした言葉が、1300年たった今でも私たちが使っているなんて、歴史って本当に不思議で面白いと思いませんか?

似ている言葉「馬の耳に念仏」とは何が違うの?

ここまで読んでくれたみなさんの中には、「あれ?馬の耳が出てくる言葉って、他にも聞いたことがある気がするぞ?」と思った方がいるかもしれませんね。

とっても鋭いですね!

そうです、馬の耳に念仏という有名な言葉がありますよね。

どちらも「馬の耳」に何かをしている言葉ですが、実は少しだけ意味のニュアンスが違うんです。

馬の耳に念仏(むだになってしまうこと)
お坊さんが唱えるありがた〜い「念仏(お経)」を、馬の耳元でいくら聞かせても、馬にはその意味がわからないから全くのムダになってしまう、という意味です。

馬耳東風(わざと、または無関心で無視すること)
こちらは、相手の言うことが分かっているのに、「ふーん、あっそう」という感じで、心に留めずに聞き流してしまう態度を指しています。

馬耳東風は「人の言葉を気にしないで聞き流す態度」のことで、少し「相手の言うことを聞く気がない」という残念な態度にスポットが当たっているんですね。

どちらも「言ってもムダだなぁ」という時に使われますが、こんなふうに使い分けられているなんて、日本語って本当に奥が深くて面白いですよね。

日常生活で使ってみよう!楽しい例文集

意味も歴史もバッチリわかったところで、次はこの言葉を実際にどうやって使えばいいのかを見ていきましょう。

なんだか難しい四字熟語に見えますが、私たちの周りの出来事に当てはめてみると、とっても使いやすい言葉なんですよ。

小学生のみなさんの学校生活や、おうちでの毎日の出来事の中で、クスッと笑えるような例文をいくつか紹介しますね。

「ああ、こういう時に使うんだな!」と一緒に想像しながら読んでみてください。

学校生活でのワンシーン

学校では、先生から「気をつけなさい」と言われることがたくさんありますよね。

でも、中には元気すぎて先生の言葉をちっとも聞いていないお友達もいるかもしれません。

そんな時の例文です。

例文1:
「先生が『廊下は走らないように!』とあれほど注意したのに、タケルくんは馬耳東風で、今日もビューンと駆け抜けていってしまった。」

タケルくんの姿が目に浮かびますよね。

先生がせっかく大事な注意をしてくれているのに、右から左へ聞き流してしまっています。

まさに、馬の耳に春風が吹いているのと同じように、タケルくんの心には先生の言葉が届いていないんですね。

おうちの中でのワンシーン

お家の中は、この四字熟語が一番よく登場する場所かもしれませんよ。

お母さんやお父さんからの愛のある注意を、ついつい聞き流してしまうこと、ありますよね。

例文2:
「お母さんが『晩ごはんの前におやつを食べすぎちゃダメよ』と何度も言っているのに、妹は馬耳東風の態度でポテトチップスを食べ続けている。」

例文3:
「『宿題を終わらせてからゲームをしなさい!』とお父さんが叱っても、画面から目を離さない兄には、すっかり馬耳東風だった。」

どちらも、毎日のように見かける光景かもしれませんね。

言われている本人は「うん、わかってるよ〜」と返事をしていても、行動が全く変わっていないのがポイントです。

こんな風に、注意されているのに知らん顔をしている家族がいたら、「あ、今のはまさに馬耳東風だね!」と心の中でこっそりつぶやいてみてくださいね。

家族のお出かけや会話でのワンシーン

実は、子どもの態度だけじゃなくて、大人の態度にだって使うことができるんですよ。

お父さんやお母さんが、誰かの言うことを聞かない時だってありますからね。

例文4:
「ドライブの途中、お母さんが『道に迷いそうだからスマートフォンで地図を見ようよ』と提案したのに、お父さんは馬耳東風と受け流して『俺の勘を信じろ!』と走り続け、結局迷子になってしまった。」

例文5:
「『最近お腹が出てきたから、少し運動したら?』という家族の忠告を、お父さんは馬耳東風で聞き流し、今日も寝転がってテレビを見ている。」

お父さんのちょっとおちゃめな(?)失敗談ですね。

周りの人が「こうした方がいいよ」と親切に言ってくれているのに、自分の考えを曲げずにアドバイスを聞き入れない。

そんな困った大人の様子も、この言葉を使うとピタッと表現できてしまうんですね。

これでもうバッチリ!今日のおさらい

ここまで一緒に探検してきて、いかがでしたか?

漢字の並びを見ただけではわからなかった、言葉の深い意味や面白い歴史がたくさんありましたよね。

最後にもう一度、今日学んだ大事なポイントを一緒に整理してみましょう。

意味他人の意見や忠告を、気にせずにスーッと聞き流してしまうこと。

由来:約1300年前の中国の天才詩人・李白さんが、友達との手紙の中で「僕たちの詩の素晴らしさが伝わらない」と愚痴をこぼしたのが始まり。

東風の秘密:東風とは、あたたかくて人を感動させる「春風」のこと。

馬の耳の秘密:人間なら感動する春風が吹いても、馬は何も感じないことから、「大事な言葉が通じない相手」の例えになった。

これだけ覚えておけば、もう立派な四字熟語マスターですね。

歴史のストーリーを知っていると、ただ言葉を暗記するよりも、ずっと頭に残りやすくなると思いませんか?

明日、さっそく学校や家で使ってみましょう!

新しい言葉を知ると、誰かに教えたり、実際に使ってみたりしたくなりますよね。

今日学んだこの言葉は、私たちの周りにあふれる日常の出来事にぴったり当てはまる、とっても便利な言葉です。

明日、学校に行って、先生の話を全く聞いていないお友達を見かけたら、お友達同士で「あの子、馬耳東風だね」とこっそり笑い合えるかもしれませんね。

お家でお母さんに怒られているのにお兄ちゃんが知らん顔をしていたら、「お兄ちゃん、今のは見事な馬耳東風だよ!」とツッコミを入れてみるのも楽しいかもしれません。

ただし、相手を怒らせすぎないように、優しいトーンで使ってみてくださいね。

言葉は、歴史を知って実際に使うことで、どんどん自分の「宝物」になっていきます。

ぜひ親子で、「今日は誰が一番うまく使えるかな?」とゲーム感覚で楽しんでみてください。

これからも、身の回りにある不思議な言葉たちに興味を持って、楽しく言葉の探検を続けていってくださいね。