
ゲームやスポーツをしているとき、「相手より先に動いたほうが、なんだか有利になりそうだな」と感じたことはありませんか。
たとえば、オニごっこで先に走り出したり、カードゲームで先攻になったりすると、自分の好きなように作戦を進めやすくなりますよね。
実は、昔から日本の人たちは、このように「先に動くことの大切さ」を一つの言葉にして伝えてきました。
それが、先手必勝(せんてひっしょう)という四字熟語なんですね。
この言葉は、大人の世界でもよく使われますが、小学生のみなさんの毎日の生活のなかにも、ぴったりの場面がたくさん隠れているんですよ。
「でも、どうして先に動くだけで勝てるの?」と不思議に思う人もいるかもしれませんね。
もしかしたら、「先に動くのはなんだかズルい気がする」と思う優しい人もいるかもしれません。
今日は、この言葉の本当の意味や、どうして作られたのかという歴史、そして明日から学校やおうちで使ってみたくなる楽しい方法を、一緒に考えていきましょう。
きっと、読み終わるころには、あなたも「なるほど!明日からさっそくやってみよう!」とワクワクしているはずですよ。
相手より先に動くことで、有利に物事を進められるということです

まずは、この言葉がどんな意味を持っているのかを、わかりやすく紐解いてみましょう。
この四字熟語は、大きく「先手(せんて)」と「必勝(ひっしょう)」という二つの言葉に分けることができます。
「先手」というのは、相手よりも先に動くことや、先にやり始めることを意味しています。
そして「必勝」というのは、必ず勝つこと、あるいは勝つ可能性がとても高くなることを表しているんですね。
つまり、これらをつなぎ合わせると、相手より先に手を打つ(動く)ことで、有利になって勝ちやすくなるというのが、この言葉のいちばん大切な意味になります。
たとえば、徒競走(かけっこ)を想像してみてください。
「よーい、ドン!」の合図で、誰よりも早くスタートダッシュを切れたら、そのまま一番前を走ってゴールしやすくなりますよね。
相手が「あっ、出遅れた!」と思っている間に、自分はどんどん前へ進むことができるからです。
勉強や毎日の生活でも同じです。
他の人が「あとでやろう」と休んでいる間に、自分から先に始めてしまうと、心にも時間にも余裕ができますよね。
先手必勝は、ただの勝負事だけでなく、「未来のために、今できることを考えて先に動こう」という、とても前向きで明るい考え方なんですよ。
なぜ「先手」という言葉が使われているのでしょうか?歴史や由来のお話

それにしても、どうして「先」の「手」と書くのでしょうか。
「足」でもなく「体」でもなく、「手」が使われているのには、ちゃんと理由があるんですよ。
この言葉のルーツ(始まり)を探るために、少しだけ昔の日本へタイムスリップしてみましょう。
将棋や囲碁のルールから生まれた考え方
みなさんは、将棋(しょうぎ)や囲碁(いご)というゲームを知っていますか。
木の盤の上にコマや石を置いて、二人で交互に動かしながら勝負をする、昔からある頭脳ゲームです。
実は、この「手」という漢字は、私たちの体についている手のことだけでなく、将棋や囲碁で「コマを動かす順番」や「作戦そのもの」という意味を持っているんですね。
将棋や囲碁の世界では、先にコマを動かす人のことを「先手(せんて)」、後に動かす人のことを「後手(ごて)」と呼びます。
先に動かすことができると、自分が考えている作戦を、相手より一歩早く始めることができますよね。
相手は、あなたの動かしたコマを見てから「どうやって防ごうかな?」と考えなければなりません。
このように、ゲームの中で自分から先に仕掛けて、相手に防がせるだけの状態にすることが勝利への一番の近道であるという経験から、この言葉が生まれたと言われているんです。
昔の人たちは、盤の上でコマを動かしながら、「やっぱり先に動いたほうが有利だなぁ」と深く実感していたのですね。
歴史の中の「先に動く」という作戦について
この考え方は、将棋や囲碁といったゲームの世界だけでなく、お侍さんたちが活躍した歴史の舞台でも、とても大切な作戦として使われてきました。
昔の戦いでは、相手が準備を終える前に、こちらから素早く攻撃を仕掛けることがありました。
相手が「えっ、もう来たの!?」とびっくりして慌てている間に勝負を決めてしまう作戦です。
これも、まさに先に動くことで勝利をつかむやり方ですよね。
近代の歴史を見てみると、相手がまだ戦いの準備をしていない時に、不意打ちのように攻撃を仕掛ける作戦が、日本のお家芸(得意技)として語られてきた歴史もあります。
確かに、相手が油断しているところに先に動けば、あっという間に勝つことができるかもしれません。
不意打ちと正々堂々の間で悩む気持ち
でも、ここで少し立ち止まって考えてみてください。
相手が準備をしていない時に、いきなり攻撃するのは、なんだか「卑怯(ひきょう)」な気がしませんか。
実は、昔の日本の人たちも、同じように悩んでいました。
日本の古いお侍さんたちには、「やあやあ、我こそは!」と立派に名乗りを上げて、お互いが万全の準備をしてから正々堂々と戦うことを「美しい」と考える文化がありました。
ですから、「先に動いて勝つのは賢いけれど、相手の弱みにつけ込むのはちょっとカッコ悪いな…」という複雑な気持ちを持っていたんですね。
この「潔さ(いさぎよさ)」と「勝つための作戦」の間で、昔の人たちも一生懸命に考えていたのです。
ズルをして勝つのは「本当の先手必勝」ではないかもしれません
では、今の私たちの生活で考えるなら、どうでしょうか。
たとえば、かけっこで「フライング(合図より早く走ること)」をして勝ったとしても、それは誰も「すごい!」と褒めてくれませんよね。
カルタ取りでも、お友達の手を叩いて邪魔をしてから札を取るのは、ただのルール違反です。
ここが、とても大切なポイントです。
本当の意味で先に動くというのは、ルールをしっかりと守ったうえで、相手や周りの人が嫌な思いをしないように、自分から進んで良い行動を起こすことなんですね。
誰かを傷つけたり、ズルをしたりして先に動くことは、正しいやり方とは言えません。
「お互いが気持ちよく過ごせるルールの中で、自分が一番に良い動きをする」。
これこそが、私たちが目指したいカッコいい姿だと思いませんか。
いつでも「先手」が勝つわけではないという不思議
もう一つ、面白いお話をしましょう。
「必勝」という言葉には「必ず勝つ」という意味が含まれていますが、実は、先に動けば「絶対に100パーセント勝てる」という魔法の言葉ではありません。
世の中には、いろんなルールや状況がありますよね。
たとえば、「じゃんけん」を思い浮かべてみてください。
じゃんけんは「せーの」で同時に手を出しますよね。
もし、あなたが相手よりも先に「グー」を出してしまったら、相手はそれを見てから「パー」を出せば勝つことができてしまいます。
これは「後出しじゃんけん」というルール違反ですが、もし「後から出したほうが有利」というルールのゲームがあったら、先に動くことは逆にピンチになってしまいますよね。
また、算数のパズルや石取りゲームなどでは、ルールや石の数によっては計算上、どうしても後攻(後から動く人)が勝つようにできているゲームも存在しているのです。
ですから、なんでもかんでも考えずに先に飛び出せばいい、というわけではないんですね。
「今の状況なら、先に動いたほうがいいかな?それとも、相手の様子を少し見たほうがいいかな?」と、頭を使って考えることが大切です。
そのうえで、「よし、ここは先に動いたほうが有利だぞ!」と気づいたときに、ためらわずにパッと行動できる人が、本当にこの言葉を使いこなせる人だと言えるでしょう。
毎日の生活の中で見つかる!ワクワクする先手必勝のチャンス
ここまでは、少し歴史やルールの難しいお話も交えながら解説してきました。
でも、安心してくださいね。
この考え方は、特別な勝負のときだけでなく、みなさんの毎日の生活の中でこそ、キラキラと輝くチカラを持っているんです。
学校で、おうちで、そしてお友達との会話の中で、どんなふうに「先に動く」ことができるのか。
具体的なシチュエーションを見ながら、先手必勝の楽しい使い方を一緒に探していきましょう。
学校生活での大作戦!あいさつ名人でみんなを笑顔に
朝、学校に着いて教室のドアを開けたとき、みなさんはどうしていますか。
お友達や先生と目が合ってから、「おはよう」と小さく言うこともあるかもしれませんね。
でも、ここで大作戦の登場です。
目が合うよりも早く、相手が声をかけてくるよりも早く、自分から元気よく「おはようございます!」と言ってみてください。
すると、相手はどう思うでしょうか。
きっと、「あっ、おはよう!今日は元気だね!」と、とっても嬉しい気持ちになりますよね。
実は、幼児教育(小さな子どもたちの学び)の世界などでは、自分から先にあいさつをすることを「先手必勝型あいさつ」と呼んで、とても大切にしているんです。
なぜなら、先に明るい声をかけることで、その場の空気を一気に自分のペースの「楽しい雰囲気」に変えることができるからです。
待っているのではなく、自分から良い空気を作り出す。
これって、とても素敵な「勝ち」だと思いませんか。
「あの子はいつも自分から元気にあいさつしてくれて、気持ちがいいな」とみんなから好かれるようになれば、学校生活がもっともっと楽しく有利に進められますよね。
おうちでの大作戦!お片付けや宿題も先にやってしまおう
次は、おうちの中でのシチュエーションです。
学校から帰ってきて、テレビを見たりゲームをしたりしてのんびりしていると、お母さんやお父さんから雷が落ちることがありますよね。
「こらー!いつまで遊んでるの!早く宿題しなさい!おもちゃも片付けなさい!」
こう言われてから「いまやろうと思ってたのに〜」と渋々動くのは、まさに「後手(ごて)に回ってしまった」状態です。
怒られてから動くのは、気分もよくありませんし、なんだか損をした気分になりますよね。
そこで、この言葉の出番です。
お母さんが「宿題は…」と言いかける前に、すでに机に向かってノートを開いてみてください。
「あれ?言われる前にやってるの?えらいね!」と、逆にびっくりして褒めてもらえるはずです。
お小言(怒られること)が飛んでくる前に、自分がやるべきことを予測して先に終わらせてしまうことで、自分の自由な時間を気持ちよく守ることができるんですね。
おうちの人もニコニコ、自分もスッキリ。
これぞまさに、おうちの中での大勝利と言えるでしょう。
季節の変わり目や健康にも使える「先回り」の考え方
毎日の生活といえば、「健康」や「季節の準備」についても同じことが言えます。
東洋の医学(昔の中国などから伝わったお医者さんの考え方)には、「未病(みびょう)」という言葉があります。
これは、完全に病気になって寝込んでしまう前に、ちょっとした体の変化に気づいて、元気な状態に戻すお手入れをすることを意味しています。
風邪をひいて熱が出てからお薬を飲むのではなく、「なんだか少し喉がイガイガするな」と思った時点で、うがいをしたり、温かいお茶を飲んで早く寝たりすることですね。
これも立派な「先に動く作戦」です。
季節の変わり目、たとえば梅雨(つゆ)の時期を思い出してみてください。
「明日からずっと雨が降るらしいよ」と天気予報で聞いたら、どうしますか。
雨が降ってから傘を探して慌てるのではなく、雨が本格的に降り始める前に、傘や長靴を用意して、おうちの中で楽しく遊べる準備をしておくことが大切です。
トラブル(困ったこと)が起きるのをただ待つのではなく、「もうすぐ困ったことが起きそうだな」と想像して、先に準備をしておく。
そうすることで、いざという時に慌てずに、笑顔で乗り越えることができるんですね。
家族や友達とのお話で使える思いやりの「先手」
最後は、人と人との「心」のつながりについてのお話です。
お友達と遊んでいて、ちょっとしたすれ違いでケンカをしてしまうことってありますよね。
「あっちが先に悪いことを言ったんだから、あっちが謝るまで絶対に許さないぞ!」
お互いにそう思って、プイッとそっぽを向いてしまうと、仲直りするタイミングがどんどんなくなってしまいます。
ずっとモヤモヤした嫌な気持ちを抱えたまま過ごすのは、とても疲れますよね。
こんな時こそ、勇気を出して先に動いてみませんか。
「さっきは、きつい言い方をしてごめんね」
自分から先に謝るのは、なんだか負けたような気がして悔しいかもしれません。
でも実は、自分から先に「ごめんね」を言える人は、相手を許す大きな心を持っていて、二人の関係を元通りにするパワーを持っている一番強い人なのです。
先に謝ってくれたあなたを見て、相手も「ううん、私の方こそごめんなさい」と素直になりやすくなります。
そして、「ありがとう」という感謝の言葉も同じです。
誰かに親切にしてもらったら、相手が「どういたしまして」と言うよりも早く、「ありがとう!」と笑顔で伝えましょう。
優しい言葉や思いやりの気持ちを、誰よりも早く相手にプレゼントすること。
これも、みんなが幸せになれる最高の作戦ですよね。
今日から使える!先に動いて有利に進めるコツのおさらい
ここまで、たくさんの例を見ながら一緒にお話ししてきましたが、いかがでしたか。
難しい四字熟語のように見えて、実はみなさんの毎日の生活に深く関わっている言葉だということがわかっていただけたのではないでしょうか。
最後に、今日学んだ大切なポイントを、もう一度おさらいしてみましょう。
・意味は「相手より先に動くことで、物事を有利に進めて勝ちやすくすること」
・元々は、将棋や囲碁などで「先にコマを動かす人」が作戦を立てやすいことから生まれた言葉
・ズルをしたりルールを破ったりするのではなく、正しいルールの中で素早く行動することが本当のカッコよさ
・「あいさつ」や「ありがとう」は、自分から先に声をかけると、みんながハッピーになる
・「宿題」や「お片付け」も、怒られる前にやってしまうと、自分の自由な時間が増えて気持ちいい
・病気になったり困ったことが起きたりする前に、「こうなるかもしれない」と想像して準備しておくことも大切
このように整理してみると、なんだかすぐにでも試してみたくなりませんか。
この言葉は、単に相手をやっつけるためのものではなく、自分の人生や毎日の時間を、もっと楽しく、もっと豊かにするための素敵な知恵なんですね。
さあ、まずは小さなことから「先手」を打ってみませんか?
いかがでしたでしょうか。
今回は、先手必勝という言葉について、その意味や歴史、そして楽しい使い方を一緒に考えてきました。
大人も子どもも、毎日の生活の中で「ああ、あの時もっと早く動いていればよかった!」と後悔することはたくさんありますよね。
私たちも、ついつい「面倒くさいな」「あとでいいや」と思ってしまいがちです。
でも、ほんの少しだけ勇気を出して、ほんの少しだけ早く動くだけで、目の前の景色がパッと明るくなることがあります。
明日の朝、目が覚めたら、家族の誰よりも早く「おはよう!」と言ってみてください。
学校に行ったら、先生に「今日の宿題、もう出していいですか?」と聞いてみてください。
きっと、「おっ、今日はなんだか動きが早いね!」とみんなが笑顔になって、あなたの一日がとっても素晴らしいものになるはずですよ。
あなたにしかできない素敵な作戦で、明日からの毎日を有利に、そして楽しく進めていってくださいね。
私たちも、あなたが元気に「先手」を打って活躍する姿を、心から応援しています!