四字熟語

不言実行(ふげんじっこう)の意味とは?有言実行との違い・由来・例文を解説

「明日から毎日、漢字の練習を頑張るぞ!」

みんなの前で元気よく目標を宣言し、それに向かって努力する人がいます。

一方で、特に何も言わず、毎日こつこつと練習を続ける人もいますよね。

どちらにも良さがありますが、今回紹介する四字熟語は、後者のような行動に関係しています。

それが、「不言実行(ふげんじっこう)」です。

この記事では、不言実行の意味や読み方、漢字の成り立ち、由来、学校や家庭で使える例文、「有言実行」との違いを、小学生にもわかりやすく解説します。

目次+

不言実行(ふげんじっこう)の意味とは?

不言実行とは、あれこれ文句や理屈を言わず、黙ってやるべきことを実行することを意味する四字熟語です。

読み方は「ふげんじっこう」です。

例えば、毎日「勉強を頑張る!」と宣言するのではなく、静かに机に向かい、こつこつと勉強を続けている人を想像してみましょう。

自分の頑張りを大げさに話さず、実際の行動で示している様子は、不言実行と表現できます。

小学生向けにひと言で説明すると?

不言実行とは、「あれこれ言わずに、やるべきことをしっかりやること」です。

例えば、次のような場面です。

  • 毎朝、誰かに言われる前に教室の掃除を続けている。
  • 「絶対に一番になる!」と自慢せず、毎日練習に取り組んでいる。
  • 困っている友達に気づき、大げさに話さず手助けする。
  • 学級の係の仕事を、文句を言わずにきちんと行う。

ただし、不言実行は、何も話さず黙っているだけではありません。

実際に行動していることが大切です。

不言実行の漢字にはどんな意味がある?

不言実行は、「不言」と「実行」の二つに分けると意味を理解しやすくなります。

「不言」はあれこれ言わないこと

「不(ふ)」は、あとに続く言葉を打ち消す働きがあります。

例えば、「不可能」は可能ではないこと、「不必要」は必要ではないことです。

「言」は、言葉を口に出すことを表します。

そのため、「不言」は口に出して言わないこと、黙っていることを意味します。

「実行」は実際に行うこと

「実行(じっこう)」は、計画したことや、やろうと考えたことを実際に行うことです。

例えば、「部屋を掃除しよう」と考えただけでは、まだ実行していません。

実際にほうきを持って掃除を始めれば、行動に移したことになります。

「不言」はあれこれ言わないこと、「実行」は実際に行うこと。二つを合わせて、黙ってやるべきことを行うという意味になります。

不言実行の由来は?『論語』との関係

不言実行は、「不言」と「実行」という言葉を組み合わせた四字熟語です。

言葉よりも行動を大切にする考え方は、古い中国の思想にも見られます。

孔子の『論語』にも似た考え方がある

中国の思想家・孔子(こうし)の教えをまとめた『論語(ろんご)』には、言葉と行動の関係を重視する教えがあります。

その一つが、為政篇(いせいへん)にある次の一節です。

「先行其言、而後従之」

これは、まず自分が言おうとすることを実行し、その後で言葉にする、という趣旨の教えとして理解されています。

簡単にいうと、立派なことを口で言うだけでなく、行動することを大切にしようという考え方です。

不言実行とよく似ていますね。

ただし、この一節が「不言実行」という四字熟語そのものの直接の出典であると断定することはできません。

関連する考え方として覚えておきましょう。

有言実行は不言実行をもじって作られた

不言実行と対比される言葉に、「有言実行(ゆうげんじっこう)」があります。

小学館『デジタル大辞泉』や三省堂『新明解四字熟語辞典』では、有言実行は不言実行をもじって作られた言葉だと説明されています。

「不言」を「有言」に変え、言ったことを責任をもって実行するという意味を表しています。

二つの違いは、後ほど詳しく紹介します。

不言実行の使い方と例文

不言実行は、あれこれ言わずに、やるべきことを実際に行う人や姿勢を表すときに使います。

「不言実行の人」「不言実行を心がける」「不言実行で取り組む」などが代表的な使い方です。

学校生活で使える例文

  • 「彼女は、毎日黙々と教室の掃除を続ける不言実行の人だ。」
  • 「彼は大会での目標を大げさに話さず、不言実行で練習を重ねた。」
  • 「先生は、口で言うだけでなく、不言実行で取り組むことの大切さを教えてくれた。」
  • 「不言実行を心がけ、苦手な漢字の練習を毎日続けた。」

家庭や日常生活で使える例文

  • 「父は休日になると、何も言わずに庭の手入れをしている。不言実行の人だ。」
  • 「姉は大きな目標を口にせず、不言実行で資格の勉強を続けていた。」
  • 「祖父は昔から不言実行を大切にしている。」
  • 「兄は家事の分担が決まると、文句を言わず不言実行で取り組んだ。」

仕事や大人の会話で使える例文

  • 「彼は自分の成果を大げさに語らず、不言実行で仕事を進めている。」
  • 「不言実行を信条とする上司は、率先して難しい仕事に取り組んだ。」
  • 「計画を説明するだけではなく、不言実行の姿勢で改善を進めた。」
  • 「同僚は不言実行で、長年の課題を一つずつ解決してきた。」

親子の会話で不言実行を覚えてみよう

例文1:漢字の練習

子ども:「友達が最近、漢字テストで毎回いい点数を取っているんだ。」

お母さん:「頑張って勉強しているのかな?」

子ども:「うん。自慢したりしないけど、毎日練習しているみたい。」

お母さん:「そういう姿を不言実行って言うんだよ。」

例文2:学校の掃除

子ども:「今日、友達が誰にも言われずに教室の掃除をしていたよ。」

お父さん:「自分から始めたんだね。」

子ども:「うん。文句も言わず、最後まで掃除していたんだ。」

お父さん:「まさに不言実行だね。」

例文3:お手伝い

子ども:「今日は何も言わずに洗濯物をたたんでおいたよ!」

お母さん:「ありがとう。自分からやってくれたんだね。」

子ども:「不言実行を意識してみたんだ!」

お母さん:「行動に移せたのはいいことだね。」

不言実行と有言実行の違いは?

不言実行と有言実行は、どちらも実際に行動することを大切にする言葉です。

しかし、言葉に出して宣言するかどうかに違いがあります。

不言実行は黙って行動すること

不言実行は、自分の目標を大げさに語ったり、あれこれ理屈を述べたりせず、やるべきことを実行することです。

例えば、マラソン大会に向けて、目標を公言せずに毎日練習を続けている人が当てはまります。

有言実行は言ったことを実行すること

有言実行は、自分が口に出して言ったことを、責任をもって実行することです。

例えば、「次の大会では自己記録を更新する!」と宣言し、本当に更新した場合です。

不言実行は「黙ってやるべきことを実行すること」、有言実行は「口に出して言ったことを実際にやり遂げること」がポイントです。

比較 不言実行 有言実行
意味 あれこれ言わずに実行する 言ったことを実行する
言葉に出すか 大げさに言わない 目標などを言葉にする
例 何も言わず毎日練習する 毎日練習すると宣言し、実行する

どちらが必ず優れているというわけではありません。

自分に合った方法で、実際に行動することが大切です。

不言実行と似ている四字熟語

言行一致(げんこういっち)

言行一致は、口で言っていることと実際の行動が一致していることです。

不言実行が黙って行動することを表すのに対し、言行一致は言葉と行動に矛盾がないことを表します。

例文:「彼女は『物を大切にしよう』と呼びかけ、自分でも丁寧に扱っている。言行一致しているね。」

率先垂範(そっせんすいはん)

率先垂範は、人より先に自分から行動し、周りの人の手本を示すことです。

例文:「リーダーは率先垂範して、会場の片付けを始めた。」

不言実行と似ていますが、率先垂範は人のお手本になることに重点があります。

訥言敏行(とつげんびんこう)

訥言敏行は、言葉は控えめでも、行動は素早く行うことです。

中国の古典『論語』里仁篇に関連する表現です。

例文:「彼は訥言敏行を心がけ、必要な仕事をすぐに始めた。」

不言実行と同様に、口先よりも行動を大切にする考え方を表しています。

不言実行と反対の意味に近い言葉

有言実行(ゆうげんじっこう)

有言実行は、不言実行と対比される代表的な言葉です。

ただし、有言実行も実際に行動することを重視するので、意味が完全に反対というわけではありません。

口先だけ(くちさきだけ)

口では立派なことを言っていても、実際の行動が伴わないことです。

例文:「毎日掃除をすると言いながら一度も実行しなければ、口先だけになってしまう。」

不言実行とは対照的な態度を表しますが、四字熟語ではありません。

不言実行を使うときの注意点

必要な連絡や相談はきちんとする

不言実行は、何も話さないことが正しいという意味ではありません。

例えば、学校で大きな物を運ぶときや、初めて使う道具を扱うときには、先生や大人に確認することが必要な場合があります。

仕事でも、報告や連絡、相談をすることは大切です。

困ったら助けを求めてもよい

不言実行だからといって、すべてを一人で抱え込む必要はありません。

難しい問題を先生に質問したり、友達に協力をお願いしたりすることも大切です。

黙っているだけでは不言実行にならない

何も言わずに座っているだけで、やるべきことを実行していなければ、不言実行とは言えません。

行動に移していることが、この四字熟語の重要なポイントです。

不言実行を英語で表すと?

不言実行に近い英語のことわざに、次の表現があります。

Actions speak louder than words.

直訳すると、「行動は言葉よりも大きな声で語る」という意味です。

言葉だけで説明するより、実際の行動の方が説得力を持つ場合があるという考え方を表しています。

また、不言実行の人は、次のようにも表現できます。

He is a man of deeds, not of words.

意味:「彼は言葉よりも行動で示す人だ。」

どちらも、小学館『プログレッシブ和英中辞典』で紹介されている、不言実行に対応する英語表現です。

不言実行の意味を3択クイズで確認しよう!

問題:次のうち、不言実行している人は誰でしょう?

  1. 「毎日掃除を頑張る!」と宣言したけれど、まだ一度も掃除していない人。
  2. 何も言わずに、やるべき係の仕事をずっと後回しにしている人。
  3. 自分の頑張りを大げさに話さず、毎日こつこつと練習を続けている人。
答えと解説を見る

正解は③です!

不言実行は、あれこれ言わずに、やるべきことを実行することです。

③の人は、大げさに宣言せず、毎日練習を続けているため、不言実行に当てはまります。

①は宣言しただけで、まだ行動していません。

②は黙っていますが、やるべきことを実行していないため、不言実行ではありません。

不言実行についてのよくある質問(FAQ)

Q1. 不言実行の読み方は?

「ふげんじっこう」と読みます。

Q2. 不言実行は四字熟語なの?

はい。三省堂『新明解四字熟語辞典』や学研『四字熟語辞典』などに掲載されている四字熟語です。

Q3. 不言実行は褒め言葉として使える?

はい。大げさに話さず、黙々と努力したり、やるべきことを実行したりする人を褒めるときに使えます。

Q4. 不言実行と有言実行はどちらがよい?

どちらにも良さがあります。不言実行は黙って行動すること、有言実行は言ったことを実行することです。どちらも行動することを大切にしています。

Q5. 不言実行と無言実行は同じ意味?

「黙って行動する」という意味では似ていますが、四字熟語として一般的に使われるのは「不言実行」です。

Q6. 不言実行は『論語』が出典なの?

『論語』には言葉より先に行動することを重視する教えがあります。ただし、不言実行という四字熟語の直接の出典だとは断定できません。

Q7. 不言実行と言行一致は同じ意味?

違います。不言実行はあれこれ言わずに行動すること、言行一致は言葉と行動に矛盾がないことです。

まとめ|不言実行は黙ってやるべきことを実行すること

不言実行の意味と使い方を振り返ってみましょう。

  • 読み方は「ふげんじっこう」。
  • 意味は、あれこれ言わずに、やるべきことを実行すること。
  • 「不言」は言わないこと、「実行」は実際に行うこと。
  • 『論語』には、言葉よりも行動を重視する関連した教えがある。
  • 有言実行は、不言実行をもじって作られた言葉。
  • 不言実行は黙って行動すること、有言実行は言ったことを実行すること。
  • 必要な相談や報告をしないことまで意味するわけではない。

不言実行を覚えるポイントは、「あれこれ言わずに、やるべきことを実際に行うこと」です。

学校の係活動や毎日の勉強、家庭でのお手伝いなど、身近なところにも不言実行を表す場面があります。

言葉で伝えることも、黙って行動することも、どちらも大切です。

自分に合った方法で、できることから行動に移してみましょう。

参考資料