
学校の発表会や家族旅行の準備などで、こんな経験をしたことはありませんか?
例えば、遠足の行き先が決まったのに、天気や交通の都合で予定が何度も変わり、ようやく新しい行き先が決まったとします。
そんな複雑な道のりを表す四字熟語が「紆余曲折(うよきょくせつ)」です。
紆余曲折とは、道や川が曲がりくねっていること。また、物事が順調に進まず、いろいろな事情が重なって複雑な経過をたどることです。
この記事では、紆余曲折の意味・読み方・漢字の成り立ち、学校や家庭での例文、似ている四字熟語との違いを紹介します。
最後には親子で楽しめる3択クイズもあります。
紆余曲折(うよきょくせつ)の意味とは?
紆余曲折は「うよきょくせつ」と読みます。
主に二つの意味を持つ四字熟語です。
意味① 道や川などが曲がりくねっていること
一つ目は、道や川などが、まっすぐではなく、何度も曲がりながら続いていることです。
例えば、山の中を流れる川を想像してみてください。
右へ曲がり、左へ曲がり、くねくねと続いている川がありますね。
このような形を表すときにも、紆余曲折という言葉を使えます。
例文:「山の中を流れる川は、紆余曲折しながら海へ向かっていた。」
意味② 物事が複雑な経過をたどること
二つ目は、物事が順調に進まず、いろいろな事情が重なって複雑な経過をたどることです。
例えば、クラスで劇を発表することになったとします。
最初に決めた台本を変えたり、役割を調整したり、舞台の準備方法を見直したりして、ようやく本番を迎えました。
このようなときに使えます。
例文:「紆余曲折を経て、ようやく学芸会の劇が完成した。」
小学生向けにひと言で説明すると?
紆余曲折とは、「道がくねくね曲がることや、物事がいろいろな事情で複雑に進むこと」です。
例えば、次のような場面が考えられます。
- 学校行事の計画が何度も変更される。
- 工作を作る途中で問題が見つかり、方法を変える。
- 家族旅行の予定が、天候や交通事情によって何度も変わる。
- 新しい商品を作るまでに、さまざまな課題が発生する。
ただし、一度だけ小さな失敗をした場合には、少し大げさな表現になることがあります。
いろいろな事情が重なり、経過が複雑になっていることがポイントです。
紆余曲折の漢字にはどんな意味がある?
紆余曲折は、「紆余」と「曲折」に分けると意味がわかりやすくなります。
「紆余」は曲がりくねっていること
「紆(う)」には、曲がる、曲がりくねるという意味があります。
あまり見かけない難しい漢字ですが、糸へんが付いていることに注目すると覚えやすいですね。
「余(よ)」は、普段は「余る」という言葉で使われます。
ただし、紆余曲折では「紆余」という二字の言葉で考えることが大切です。
「紆余」は、川や丘などが曲がりくねって続いていることを表します。
小学館『精選版 日本国語大辞典』でも、「紆」と「余」の両方について、屈曲する様子に関係することが説明されています。
なお、「紆余」には、ゆとりがあってのびのびしているという別の意味もありますが、「紆余曲折」では曲がりくねる意味で使われています。
「曲折」は折れ曲がっていること
「曲(きょく)」には、曲がるという意味があります。
「折(せつ)」には、折れる、折り曲がるという意味があります。
この二つを合わせた「曲折」は、道などが曲がりくねることです。
また、物事の事情が入り組んでいることも表します。
例えば「曲折を経て、話し合いがまとまった」という使い方があります。
「紆余」と「曲折」を合わせると?
「紆余」も「曲折」も、曲がりくねることに関係しています。
この二つを合わせることで、複雑に曲がっている様子が強調されています。
「紆余」は曲がりくねること、「曲折」は折れ曲がること。二つを合わせて、道の曲がりくねりや、物事の複雑な経過を表します。
紆余曲折の由来は?道や川との関係
紆余曲折には、もともと道や川などが曲がりくねっているという意味があります。
そこから、物事がまっすぐ順調に進まず、複雑な経過をたどることも表すようになりました。
例えば、山道には何度も曲がり角があり、目的地まで一直線には進めないことがあります。
物事が思いどおりに進まない様子も、そのような曲がりくねった道にたとえて考えると、意味がわかりやすいでしょう。
ただし、昔の特定の人物が川を見て、この四字熟語を初めて作ったという歴史的な出来事までは確認できません。
言葉の意味から理解できるたとえと、実際に確認できる歴史は、区別することが大切です。
日本ではいつごろから使われていた?
小学館『精選版 日本国語大辞典』には、「紆余曲折」の古い使用例が掲載されています。
1877年に刊行された『米欧回覧実記(べいおうかいらんじっき)』には、川が曲がりくねっている様子を表す使用例が見られます。
『米欧回覧実記』は、明治時代に欧米を訪問した岩倉使節団の記録です。
また、1915年の三宅雪嶺(みやけせつれい)の文章には、複雑な説明の経過を表す使用例も紹介されています。
これらは日本語における古い使用例ですが、この年に初めて言葉が作られたという意味ではありません。
紆余曲折の使い方と例文
紆余曲折は、「紆余曲折があった」「紆余曲折を経て」「紆余曲折の末に」などの形でよく使われます。
学校生活での例文
- 「紆余曲折を経て、ようやく学芸会の劇の内容が決まった。」
- 「クラスの話し合いでは紆余曲折があったが、最後には全員が納得する方法を見つけた。」
- 「何度も設計を変更するなど、紆余曲折の末に工作が完成した。」
- 「文化祭の準備には紆余曲折があったものの、本番は予定どおり開催できた。」
家庭や日常生活での例文
- 「家族旅行の計画は紆余曲折を経て、ようやく決まった。」
- 「引っ越し先を決めるまでには、さまざまな紆余曲折があった。」
- 「家族で話し合いを重ね、紆余曲折の末に新しい生活のルールが決まった。」
- 「祖父は、これまでの人生で経験した紆余曲折について話してくれた。」
自然や地形についての例文
- 「山あいの川は、紆余曲折しながら流れている。」
- 「紆余曲折した山道を進むと、小さな集落が見えてきた。」
- 「川の流れが紆余曲折しているため、地図でも大きな曲がりが確認できる。」
仕事やニュースでの例文
- 「新商品の開発は、幾多の紆余曲折を経て完成に至った。」
- 「何度も話し合いを重ね、紆余曲折の末に契約がまとまった。」
- 「新しい制度が始まるまでには、さまざまな紆余曲折があった。」
- 「紆余曲折を経ながら、地域の再開発計画が進められている。」
「紆余曲折を経て」と「紆余曲折の末」の違い
紆余曲折は、経過を表す言葉と一緒によく使われます。
「紆余曲折を経て」
「紆余曲折を経て」は、いろいろな事情や変化を経験した後で、という意味です。
例文:「紆余曲折を経て、新しい公園の建設が決まった。」
複雑な経過をたどったことを伝える表現です。
「紆余曲折の末に」
「紆余曲折の末に」は、複雑な経過があった結果、最終的にどうなったかを伝える表現です。
例文:「紆余曲折の末に、ようやく話し合いがまとまった。」
「末に」を付けると、複雑な経過の後に結論や結果が出たことを強調できます。
紆余曲折と試行錯誤の違いは?
「試行錯誤(しこうさくご)」は、さまざまな方法を試し、失敗や修正を重ねながら、目的に合う方法を見つけようとすることです。
例文:「試行錯誤を重ねて、紙飛行機を遠くまで飛ばせるようになった。」
一方、紆余曲折は、物事が順調に進まず、複雑な経過をたどることです。
例文:「天候の変化や予定の変更など、紆余曲折を経て大会が開催された。」
試行錯誤は「いろいろ試すこと」、紆余曲折は「複雑な経過をたどること」に重点があります。
ただし、試行錯誤を重ねた結果、計画が何度も変わって紆余曲折をたどることもあります。
二つの言葉は、同じ出来事に使える場合もあるのです。
紆余曲折と波乱万丈の違いは?
「波乱万丈(はらんばんじょう)」は、変化や浮き沈みが激しく、劇的な出来事が多いことを意味します。
例えば、「波乱万丈の人生」という表現がよく使われます。
一方、紆余曲折は、物事の経過が複雑で、順調に進まないことを表します。
例文:「何度も計画の変更があり、紆余曲折を経て新しい施設が完成した。」
試行錯誤は「方法をいろいろ試すこと」、波乱万丈は「劇的な変化が多いこと」、紆余曲折は「経過が複雑で、順調に進まないこと」です。
紆余曲折と似ている言葉
二転三転(にてんさんてん)
二転三転は、物事の状況や方針などが何度も変わることです。
例文:「会議の方針が二転三転し、結論が出るまで時間がかかった。」
紆余曲折は複雑な経過全体を表しますが、二転三転は何度も変化することに重点があります。
多事多難(たじたなん)
多事多難は、さまざまな出来事や困難が多いことです。
例文:「新しい会社の立ち上げは、多事多難だった。」
紆余曲折と近い意味ですが、多事多難は困難が多いことをより強く表します。
曲折(きょくせつ)
曲折は、道などが曲がりくねることや、事情が複雑であることです。
例文:「いろいろな曲折を経て、計画がまとまった。」
紆余曲折と非常に近い意味を持つ言葉です。
紆余曲折と反対の意味に近い言葉
順風満帆(じゅんぷうまんぱん)
順風満帆は、物事が順調に進むことを意味する四字熟語です。
例文:「新しい事業は順風満帆に進んでいる。」
紆余曲折が複雑な経過を表すのに対し、順風満帆は順調に進むことを表します。
円滑(えんかつ)
円滑は、物事が滞らず、なめらかに進むことです。
例文:「話し合いは円滑に進み、予定の時間内に終わった。」
こちらも、複雑な経過をたどる紆余曲折とは、対照的な意味を持つ言葉です。
ただし、順風満帆や円滑が、厳密に一対一で対応する対義語と決まっているわけではありません。
紆余曲折を使うときの注意点
小さな失敗を何でも紆余曲折と呼ばない
紆余曲折は、物事の経過が複雑になったことを表します。
例えば、鉛筆の芯が一度折れた、消しゴムを少し探した、という程度なら、紆余曲折という表現は大げさになる場合があります。
いろいろな問題や変更が重なった場面に使うと、意味が伝わりやすくなります。
紆余曲折は必ず成功することを意味しない
紆余曲折は、物事が複雑な経過をたどることです。
そのため、最後に成功した場合にも、計画が中止になった場合にも使えます。
例文:「さまざまな紆余曲折があったものの、計画は中止となった。」
苦労すれば必ずよい結果になる、という意味ではありません。
試行錯誤と混同しない
試行錯誤は、方法をいろいろ試して工夫することです。
紆余曲折は、物事が複雑な経過をたどることです。
同じ出来事に両方の言葉が当てはまることもありますが、意味の中心は違います。
相手の苦労を軽く扱わない
紆余曲折は、困難や複雑な事情を表す場合にも使われます。
相手が大変な経験を話しているときには、まず話を聞き、その人がどのような思いをしたのかを大切にしましょう。
「いろいろあったんだね」と受け止めることも大切です。
紆余曲折を英語で表すと?
紆余曲折は、使う場面によって次のような英語表現で伝えられます。
- twists and turns:曲がりくねりや、複雑な展開。
- a winding road:曲がりくねった道。
- a meandering river:曲がりくねって流れる川。
- after many complications:さまざまな複雑な事情を経て。
例えば、次のように言えます。
After many twists and turns, the plan was finally approved.
意味:「紆余曲折を経て、ようやく計画が承認された。」
「twists and turns」は、道の曲がりくねりと、物事の複雑な展開の両方に関係する表現です。
親子でチャレンジ!紆余曲折の3択クイズ
問題:次のうち、紆余曲折の使い方として最も適切なのはどれ?
- 「何度も計画を変更し、紆余曲折を経て、ようやく文化祭の準備が整った。」
- 「一度も問題が起きず、すべて予定どおりに進んだので、紆余曲折だった。」
- 「今日は朝ご飯を早く食べたので、紆余曲折だった。」
答えと解説を見る
正解は①です。
紆余曲折は、物事が順調に進まず、複雑な経過をたどることを意味します。
①は、計画が何度も変更され、複雑な経過をたどっているため、適切な使い方です。
②は、すべて順調に進んでいるため、紆余曲折の意味とは異なります。
③は、単に朝ご飯を早く食べただけなので、紆余曲折には当てはまりません。
紆余曲折についてのよくある質問
Q. 紆余曲折の読み方は?
「うよきょくせつ」と読みます。
Q. 紆余曲折の意味は?
道や川などが曲がりくねっていること。また、物事が順調に進まず、いろいろな事情によって複雑な経過をたどることです。
Q. 紆余曲折は正式な四字熟語なの?
はい。小学館『デジタル大辞泉』『四字熟語を知る辞典』、三省堂『新明解四字熟語辞典』などに掲載されています。
Q. 紆余曲折の由来は?
「紆余」と「曲折」はどちらも曲がりくねることに関係する言葉です。道や川の曲がりくねりを表す意味があり、物事の複雑な経過を表す意味でも使われます。
Q. 紆余曲折は褒め言葉なの?
必ずしも褒め言葉ではありません。複雑な経過をたどったことを表す言葉であり、結果がよかったかどうかは文章によって異なります。
Q. 紆余曲折を経て、とはどういう意味?
いろいろな事情や変化があった後で、という意味です。
Q. 紆余曲折の末に、とはどういう意味?
複雑な経過をたどった結果、最終的にどうなったかを伝える表現です。
Q. 紆余曲折と試行錯誤の違いは?
紆余曲折は複雑な経過をたどることです。試行錯誤は、いろいろな方法を試して工夫することです。
Q. 紆余曲折と波乱万丈の違いは?
紆余曲折は物事の経過が複雑なこと、波乱万丈は変化や浮き沈みが激しく、劇的な出来事が多いことです。
Q. 紆余曲折の反対の意味に近い言葉は?
「順風満帆」「円滑」などがあります。いずれも物事が順調に進むことに関係する言葉です。
まとめ|紆余曲折は複雑な経過をたどること
紆余曲折の意味や使い方を振り返ってみましょう。
- 読み方は「うよきょくせつ」。
- 意味は、道や川が曲がりくねっていること。
- 物事が順調に進まず、複雑な経過をたどることも表す。
- 「紆余」と「曲折」はどちらも曲がりくねることに関係する。
- 「紆余曲折を経て」「紆余曲折の末に」などの形でよく使う。
- 学校行事・旅行・仕事・人生の経過など、さまざまな場面で使える。
- 似た言葉には「試行錯誤」「波乱万丈」「二転三転」などがある。
- 反対の意味に近い言葉には「順風満帆」「円滑」がある。
- 紆余曲折の後に、必ず成功するという意味ではない。
紆余曲折を覚えるポイントは、「道や川が曲がりくねること。また、いろいろな事情で物事が複雑な経過をたどること」です。
学校の行事や家族の計画などで、予定どおりに進まないことがあったら、この言葉を思い出してみてください。
また、山道や川など、自然の中にある曲がりくねった形を見つけたときにも使える言葉です。
二つの意味を覚えることで、文章や会話の中でも、より正確に使えるようになりますね。