
スポーツの試合やニュースで、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
若いころにはあまり目立たなかった人が、長い年月を経て大きく活躍するようになったときに使われる四字熟語です。
その言葉が「大器晩成(たいきばんせい)」です。
大器晩成とは、大きな才能や能力を持つ人物が、時間をかけて実力を養い、後になって大きな成功を収めることです。
「大器」は大きな器、「晩成」は遅く完成することを表します。
この記事では、大器晩成の意味・読み方・由来、中国の古典『老子』との関係、学校や家庭での例文を紹介します。
褒め言葉としての使い方や、親子で楽しめる3択クイズもあるので、一緒に学んでいきましょう。
大器晩成(たいきばんせい)の意味とは?
大器晩成は「たいきばんせい」と読みます。
大きな器は完成するまでに時間がかかるように、優れた人物も才能や能力を十分に発揮するまでに長い時間がかかるという意味です。
例えば、若いころはあまり知られていなかった研究者が、長い研究を続けた後に大きな発見をした場合です。
そのような人物について、「大器晩成の研究者だ」と表現できます。
小学生向けにひと言で説明すると?
大器晩成とは、「大きな才能を持つ人が、時間をかけて後から大きく活躍すること」です。
例えば、次のような場面が考えられます。
- 若いころは注目されなかった選手が、経験を積んでから大活躍する。
- 長い研究を続けた人が、年齢を重ねてから重要な発見をする。
- 若いころには売れなかった作家が、後になって高く評価される。
- 長年かけて身につけた技術によって、大きな仕事を成し遂げる。
大切なのは、単に時間がかかったことではなく、後になって大きな才能や能力を発揮するという点です。
大器晩成は成長が遅い人という意味?
大器晩成は、単に物事を覚えるのが遅い人を指す言葉ではありません。
優れた能力を持つ人が、時間をかけて大きな成果を上げることを表します。
例えば、九九を覚えるのに時間がかかっているというだけでは、その人を大器晩成と決めることはできません。
今はまだ目立たなくても、将来大きな力を発揮する可能性がある人への期待を込めて使う場合もあります。
大器晩成の漢字にはどんな意味がある?
大器晩成は、「大器」と「晩成」の二つに分けると意味を理解しやすくなります。
「大器」は大きな器、転じて優れた人物
「大(たい)」には、大きい、優れているという意味があります。
「器(き)」は、お皿や入れ物などの器のことです。
「大器」は、もともと大きな器や、貴重な器物を表します。
そこから、優れた才能や器量を備えた人物を表す意味でも使われるようになりました。
「将来は大器になる」という言い方を聞いたことがあるかもしれませんね。
これは、将来大きな仕事をするような、優れた人物になることを表しています。
「晩成」は時間をかけて完成すること
「晩(ばん)」には、夜や、時期が遅いという意味があります。
「成(せい)」には、できあがる、成し遂げるという意味があります。
「晩成」は、時間がかかって完成することや、遅い時期に大きな成果を上げることです。
ここでの「晩」は、必ずしも夜を意味しているわけではありません。
物事が完成したり、才能が発揮されたりする時期が遅いことを表しています。
「大器」と「晩成」を合わせると?
大きな器を完成させるには、時間がかかることがあります。
このことを、大きな能力を備えた人物が成長し、活躍するまでの時間にたとえています。
「大器」は優れた才能や器量を持つ人物、「晩成」は時間をかけて大成すること。合わせて、優れた人物が後になって大きく活躍することを表します。
大器晩成の由来は?中国の古典『老子』
大器晩成は、中国の古典『老子(ろうし)』に由来する四字熟語です。
『老子』は、道家思想を伝える重要な書物として知られています。
道家思想では、自然のあり方や、人がどのように生きるかなどについて考えます。
『老子』第41章の原文
現在広く読まれている『老子』第41章には、次の言葉があります。
「大方無隅、大器晚成、大音希聲、大象無形」
読み下すと、おおむね次のようになります。
「大方は隅なく、大器は晩成し、大音は希声、大象は形なし」
少し難しい文章ですが、大きさや優れた性質を表すものは、普通の考え方だけでは捉えにくいという内容です。
その中に、「大器晩成」という言葉が登場します。
なぜ大きな器をたとえにしたの?
大きく立派な器物を作るには、時間がかかることがあります。
そこから、大きな才能を持つ人物も、その力を十分に発揮するまでには時間がかかるという意味で使われるようになりました。
現在の日本語では、特に優れた人物が後になって大きな成果を上げることを表しています。
古い写本には「大器免成」という表記もある
実は、『老子』には、現在広く読まれているものと異なる古い写本もあります。
台湾教育部『成語典』によると、中国で発見された馬王堆(まおうたい)の帛書(はくしょ)という古い写本には、「大器免成」という表記が見られます。
また、郭店楚墓竹簡(かくてんそぼちくかん)には、「大器曼成」という表記があります。
「大器免成」は、大きな器は人の手で完成させるものではない、という意味に解釈する説もあります。
そのため、古い『老子』の文章については、どの表記や解釈が適切なのか、研究が続けられています。
ただし、現在の日本語で使う四字熟語は「大器晩成」であり、その一般的な意味は辞典でも定まっています。
小学生のみなさんは、まず「大きな才能を持つ人が、時間をかけて大成すること」と覚えておけば大丈夫です。
大器晩成は日本でも昔から使われていた?
大器晩成は、中国から日本に伝わり、古くから使われてきた言葉です。
小学館『精選版 日本国語大辞典』には、900年ごろの『菅家文草(かんけぶんそう)』に見られる使用例が紹介されています。
『菅家文草』は、平安時代の菅原道真(すがわらのみちざね)の漢詩文を集めた書物です。
このことから、日本でも平安時代には、大器晩成という表現が使われていたことがわかります。
ただし、これは確認できる古い使用例であり、そのときに初めて日本で使われたという意味ではありません。
大器晩成の使い方と例文
大器晩成は、「大器晩成の人物」「大器晩成型」「大器晩成だった」などの形で使われます。
学校生活での例文
- 「先生は、今は目立たなくても将来大きく活躍するかもしれないと、大器晩成への期待を語った。」
- 「歴史の授業で、若いころには評価されず、後になって大きな仕事を成し遂げた人物を、大器晩成の例として学んだ。」
- 「図書室で、大器晩成の科学者について書かれた伝記を読んだ。」
家庭や日常生活での例文
- 「祖父は若いころ無名だった作家について、大器晩成の人物だったと話してくれた。」
- 「父は、長い年月をかけて成功した研究者を見て、まさに大器晩成だねと言った。」
- 「まだ結果が出ていなくても、将来は大器晩成かもしれないと期待されている。」
スポーツでの例文
- 「その選手は若いころ試合に出る機会が少なかったが、経験を重ねてから大活躍する大器晩成型だった。」
- 「30代になってから大きな大会で優勝した選手は、大器晩成の選手として紹介された。」
- 「監督は、今すぐ活躍する選手だけでなく、大器晩成型の選手にも期待している。」
仕事や大人の会話での例文
- 「その研究者は長年の研究の末に重要な発見をし、大器晩成の人物と評価された。」
- 「若いころは目立たなかった経営者が、後年大きな実績を上げ、大器晩成だったと語られた。」
- 「大器晩成型の人材を、長い目で育てることも大切だ。」
大器晩成は褒め言葉なの?
大器晩成は、一般的には肯定的な意味で使われる四字熟語です。
若いころには目立たなかった人が、後になって大きな成果を上げたことを評価したり、将来への期待を込めたりする場合に使います。
ただし、使う相手や場面には注意が必要です。
「あなたは大器晩成だね」と言ってもいい?
相手の才能や将来に期待する意味で使うことはできます。
しかし、まだ成果を上げていない人に対して使う場合、将来必ず成功すると決まっているわけではありません。
また、「今はまだできない人だね」と言われたように感じる人もいるかもしれません。
特に、友達が勉強や運動で悩んでいるときには、四字熟語で評価するより、今の努力を具体的に認める言葉がよい場合もあります。
例えば、「昨日より少しできるようになったね」「練習を続けてきたことがすごいね」と伝えることもできます。
大器晩成と似ている言葉
大器は晩く成る(たいきはおそくなる)
「大器は晩く成る」は、大器晩成と同じ意味を持つことわざです。
大きな器が完成するまでに時間がかかるように、優れた人物が才能を発揮するまでには時間がかかることを表します。
晩成(ばんせい)
晩成は、遅い時期になって大きな成果を上げることです。
例文:「若いころは無名だったが、後に晩成した画家として知られるようになった。」
大器晩成と近い意味ですが、晩成は四字熟語ではなく二字熟語です。
遅咲き(おそざき)
「遅咲き」は、花が遅い時期に咲くことや、人が比較的遅い時期に才能を発揮することです。
例文:「その俳優は、長年の活動を経て人気が出た遅咲きの人物だ。」
大器晩成に近い意味ですが、日常会話では「遅咲き」の方がやわらかい表現として使われる場合もあります。
大器晩成と反対の意味に近い言葉
早熟(そうじゅく)
早熟は、普通より早い時期に成長したり、能力などが発達したりすることを意味します。
例文:「彼女は早熟な才能を持ち、若いころから活躍していた。」
大器晩成が後になって才能を発揮することを表すのに対し、早熟は早い時期に能力が発達することに注目した言葉です。
ただし、早熟と大器晩成が厳密に一対一の対義語というわけではありません。
若くして大成する
「若くして大成する」は、若い時期に大きな成果を上げることです。
例文:「その選手は若くして大成し、世界大会で活躍した。」
大器晩成とは、成果を上げる時期が対照的です。
大器晩成を使うときの注意点
誰もが必ず大器晩成するわけではない
大器晩成は、優れた人物が後になって大きな才能を発揮することを表します。
しかし、すべての人が将来必ず大成功すると約束する言葉ではありません。
また、大きな成功を収めなければ価値がないという意味でもありません。
人にはさまざまな得意分野や成長の仕方があります。
覚えるのが遅いことだけで決めつけない
勉強や運動で、ほかの人より習得に時間がかかる場合があります。
でも、そのことだけで「大器晩成型だ」と決めつけることはできません。
大器晩成は、後になって優れた才能や能力を発揮することに注目した言葉です。
無理して頑張り続ける必要はない
目標に向かって努力することは大切ですが、休むことや別の方法を試すことも必要です。
「大器晩成だから、あきらめずに続けなければならない」と考える必要はありません。
自分に合ったペースや方法を選ぶことも大切です。
早く成果を上げる人が劣っているわけではない
大器晩成は、遅い時期に才能を発揮することを肯定的に表す言葉です。
だからといって、早い時期に活躍した人より優れているという意味ではありません。
それぞれの成長や活躍には、違ったよさがあります。
大器晩成を英語で表すと?
大器晩成に近い英語表現には、次のようなものがあります。
- a late bloomer:比較的遅い時期に才能を発揮する人。
- achieve success later in life:人生の後半で成功する。
- develop one's talents over time:時間をかけて才能を伸ばす。
例えば、次のように言えます。
He was a late bloomer who achieved great success later in life.
意味:「彼は大器晩成型で、後になって大きな成功を収めました。」
英語では「late bloomer」という表現がよく使われます。
親子でチャレンジ!大器晩成の3択クイズ
問題:次のうち、大器晩成の意味として最も適切なのはどれ?
- 「若いころから誰よりも早く、大きな成功を収めること。」
- 「大きな才能を持つ人物が、長い時間をかけて実力を養い、後になって大きく活躍すること。」
- 「何かを覚えるのに時間がかかる人は、必ず将来成功するということ。」
答えと解説を見る
正解は②です。
大器晩成は、優れた人物が時間をかけて実力を養い、後になって大きな成果を上げることです。
②は、大器晩成の意味を正しく説明しています。
①は、早い時期に大きく成功することなので、大器晩成とは異なります。
③は、単に成長に時間がかかることだけでなく、将来の成功まで必ず約束しているため、適切ではありません。
大器晩成についてのよくある質問
Q. 大器晩成の読み方は?
「たいきばんせい」と読みます。
Q. 大器晩成はどんな意味?
優れた人物が、時間をかけて実力を養い、後になって大きな成果を上げることです。
Q. 大器晩成は正式な四字熟語なの?
はい。小学館『デジタル大辞泉』『四字熟語を知る辞典』などに掲載されています。
Q. 大器晩成の由来は?
中国の古典『老子』第41章に由来します。現在広く読まれる原文に「大器晚成」という表現があります。
Q. 大器晩成の「器」は何を表しているの?
もともとは大きな器物のことです。そこから、優れた才能や器量を持つ人物を表す意味でも使われます。
Q. 大器晩成は褒め言葉なの?
一般的には褒め言葉として使われます。長い時間をかけて成功した人物を評価したり、将来への期待を込めたりする場合があります。
Q. 大器晩成は何歳からなの?
何歳以上という決まりはありません。ほかの人より遅い時期に才能を発揮したり、大きな成果を上げたりする場合に使います。
Q. 大器晩成と遅咲きの違いは?
どちらも比較的遅い時期に才能を発揮することに関係します。大器晩成は特に、優れた人物が大きな成果を上げることを表します。
Q. 大器晩成型の子どもとは?
将来、時間をかけて大きな能力を発揮することが期待される子どもを、そう呼ぶ場合があります。ただし、成長の速さだけで将来の能力が決まるわけではありません。
Q. 大器晩成の反対の意味に近い言葉は?
「早熟」や「若くして大成する」など、早い時期に才能を発揮することを表す言葉が、対照的な表現です。
まとめ|大器晩成は時間をかけて大きな才能を発揮すること
大器晩成の意味や使い方を振り返ってみましょう。
- 読み方は「たいきばんせい」。
- 意味は、優れた人物が時間をかけて実力を養い、後になって大きく活躍すること。
- 「大器」は大きな器や、優れた才能を持つ人物を表す。
- 「晩成」は遅い時期に大きな成果を上げること。
- 中国の古典『老子』第41章に由来する。
- 古い写本には「大器免成」などの異なる表記もある。
- 日本では平安時代の『菅家文草』に使用例が見られる。
- 「大器晩成の人物」「大器晩成型」などの形で使う。
- 単に覚えるのが遅いことや、将来必ず成功することを意味するわけではない。
大器晩成を覚えるポイントは、「大きな才能を持つ人物が、時間をかけて後になって大成すること」です。
人によって、得意なことや才能を発揮する時期は異なります。
早い時期に活躍する人もいれば、長い年月を経てから大きな成果を上げる人もいます。
大器晩成という言葉を覚えたら、歴史上の人物やスポーツ選手の伝記を読むときにも、その人がどのような道を歩んできたのか注目してみましょう。