四字熟語

東奔西走(とうほんせいそう)とは?意味・読み方・由来・例文と右往左往との違い

「今日は学校から図書館へ行って、そのあとお店にも寄って、大忙しだった!」

みなさんは、用事のためにあちこち動き回ったことがありますか?

例えば、学校の行事を準備するために、いろいろな場所へ道具を借りに行ったり、たくさんの人と相談したりする場面です。

そんな忙しい様子を表す四字熟語が「東奔西走(とうほんせいそう)」です。

東奔西走とは、仕事や用事などで、あちらこちらを忙しく走り回ることです。

この記事では、東奔西走の意味・読み方・漢字の成り立ち、学校や家庭での例文、「右往左往」「南船北馬」との違いを紹介します。

昔の文献に見られる使用例や、親子で楽しめる3択クイズもあります。

目次+

東奔西走(とうほんせいそう)の意味とは?

東奔西走は「とうほんせいそう」と読みます。

東へ西へと、あちらこちらを忙しく走り回ることを意味する四字熟語です。

仕事や用事などのために、いろいろな場所を移動する様子を表すときによく使われます。

小学生向けにひと言で説明すると?

東奔西走とは、「用事のために、あっちへこっちへ大忙しで動き回ること」です。

例えば、次のような場面が考えられます。

  • 学校行事の準備で、先生がいろいろな場所を回る。
  • 地域のお祭りに必要な道具を集めるため、係の人が町中を回る。
  • 家族旅行の予定が変更され、宿や交通機関の手続きのためにあちこち動く。
  • 会社で新しい仕事を始めるため、担当者が何か所も訪問する。

ただし、実際に走っている必要はありません。

車や電車などで移動していても、忙しくあちこちを回っている場合には使えます。

東奔西走は褒め言葉なの?

東奔西走は、必ずしも褒め言葉ではありません。

忙しく動き回っている様子を表す言葉です。

そのため、「みんなのために東奔西走してくれた」と感謝を伝える場合にも、「東奔西走の毎日で疲れている」と大変さを表す場合にも使われます。

前後の文章によって、言葉の印象が変わるのです。

東奔西走の漢字にはどんな意味がある?

東奔西走は、「東」「奔」「西」「走」の四つの漢字からできています。

「東」と「西」は反対の方角

「東(とう)」は、太陽が昇る方向です。

「西(せい)」は、太陽が沈む方向です。

東と西は反対の方角ですね。

この二つの漢字を使って、あちらこちらへ移動する様子を表しています。

ただし、実際に東と西の二方向だけに移動するという意味ではありません。

「奔」と「走」はどちらも走ること

「奔(ほん)」は、勢いよく走る、駆けるという意味です。

「走(そう)」も、走る、駆けるという意味です。

どちらも移動する動作に関係する漢字ですね。

「奔」と「走」を組み合わせることで、忙しく走り回る様子を表しています。

四つの漢字を合わせると?

東奔西走は、東へ走り、西へ走るという漢字の組み合わせです。

そこから、あちらこちらを忙しく駆け回ることを意味します。

「東・西」はあちらこちらの方角、「奔・走」は走ること。東奔西走は、いろいろな場所を忙しく動き回る様子を表します。

東奔西走の由来は?漢字の組み合わせと古い使用例

東奔西走は、東へ西へと忙しく走り回るという、漢字の組み合わせから意味を理解できる四字熟語です。

昔の人々が使っていた表現ですが、特定の人物が作ったという故事や、ひとつの出来事に由来するとまでは確認できません。

そのため、「昔の旅人が馬で走り回っていたことから生まれた」といった物語を、歴史上の事実として説明することは避けましょう。

日本ではいつごろから使われていた?

小学館『精選版 日本国語大辞典』には、1871年(明治4年)の『新聞雑誌』における「東奔西走」の使用例が紹介されています。

このことから、明治時代には日本語の文章で使われていたことがわかります。

また、小学館『四字熟語を知る辞典』では、1952年の梅崎春生の作品『春の月』や、1975年の阿部昭の作品『人生の一日』での使用例も紹介されています。

ただし、これらは辞典に掲載されている使用例であり、言葉が初めて生まれた年代を示すものではありません。

中国の古い文献にも登場する

台湾教育部『成語典』には、中国の元代に活動した魏初(ぎしょ)の詞「沁園春(しんえんしゅん)」に、「東奔西走」の使用例が紹介されています。

また、中国の物語『西遊記』にも使用例があります。

このように、東奔西走は中国語でも使われてきた表現です。

ただし、これらの使用例のうち、どれが最初なのかまでは断定できません。

東奔西走の使い方と例文

東奔西走は、「東奔西走する」「東奔西走している」「東奔西走の毎日」などの形でよく使われます。

学校生活での例文

  • 「運動会の準備のため、先生たちは東奔西走していた。」
  • 「文化祭に必要な道具を集めるため、実行委員が東奔西走した。」
  • 「地域の方々に協力をお願いするため、先生が東奔西走していた。」
  • 「学級新聞の取材で、担当の二人は学校中を東奔西走した。」

家庭や日常生活での例文

  • 「引っ越しの手続きや買い物のため、家族で東奔西走した。」
  • 「祖父の誕生日会を準備するため、家族が東奔西走していた。」
  • 「急な予定変更があり、両親は朝から東奔西走していた。」
  • 「地域のお祭りの準備で、係の人たちは東奔西走の毎日だった。」

仕事や社会での例文

  • 「新しい取引先を探すため、営業担当者が東奔西走している。」
  • 「資金を集めるため、代表者は各地を東奔西走した。」
  • 「災害の被害を受けた地域に物資を届けるため、支援団体が東奔西走した。」
  • 「新商品の発売準備で、担当者は連日東奔西走していた。」

少し面白い日常の例文

  • 「欲しかった本を探して、休日は町中を東奔西走した。」
  • 「落とし物の持ち主を探すため、係の人が東奔西走していた。」
  • 「イベントの会場変更が重なり、スタッフは東奔西走することになった。」

このように、東奔西走は仕事だけでなく、学校行事や家庭の用事などにも使えます。

東奔西走と右往左往の違いは?

「右往左往(うおうさおう)」は、どうすればよいかわからず、あわててあちらこちらに動き回ることです。

東奔西走と似ていますが、意味の中心が異なります。

東奔西走は忙しく動き回ること

東奔西走は、仕事や用事などで、あちらこちらを忙しく走り回ることです。

例文:「新しい図書室のために本を集めようと、先生たちは東奔西走した。」

忙しく移動していることが中心です。

右往左往は混乱して動き回ること

右往左往は、うろたえたり混乱したりして、あちこち動くことです。

例文:「急に集合場所が変わり、知らせを聞いていなかった人たちは右往左往した。」

どうすればよいかわからず、混乱していることが中心です。

東奔西走は必ず冷静であるという意味ではなく、右往左往は必ず目的がないという意味でもありません。

同じ出来事について、忙しさを強調するか、混乱を強調するかによって、使い分けることがあります。

東奔西走は「あちこち忙しく動くこと」、右往左往は「あわてて混乱し、あちこち動くこと」に重点があります。

東奔西走と南船北馬の違いは?

「南船北馬(なんせんほくば)」は、あちこちの土地を絶えず旅することを意味する四字熟語です。

中国の南方では川や湖が多く船を使い、北方では馬を使って移動することが多かったという事情に関係しています。

例文:「その研究者は南船北馬の旅を続け、各地の文化を調べた。」

東奔西走は、仕事や用事などのために、忙しく動き回ることです。

例文:「イベントの準備で、スタッフは各地を東奔西走した。」

南船北馬は各地を旅すること、東奔西走は忙しくあちこちを回ることに重点があります。

どちらも移動が多い様子を表すため、場面によっては似た使い方ができます。

東奔西走と似ている四字熟語

東走西奔(とうそうせいほん)

東走西奔は、東奔西走と同じように、あちらこちらを忙しく走り回ることです。

東奔西走とは「奔」と「走」の順序が入れ替わっています。

東奔西馳(とうほんせいち)

東奔西馳も、あちこち忙しく駆け回ることを意味します。

「馳(ち)」には、速く走る、駆けるという意味があります。

東奔西走に近い意味の四字熟語です。

奔走(ほんそう)

奔走は、あることを実現させるために、あちこちを走り回って努力することです。

例文:「地域のお祭りを開催するため、役員たちが奔走した。」

東奔西走とよく似た意味を持つ二字熟語です。

東奔西走と反対の意味に近い言葉

悠々自適(ゆうゆうじてき)

悠々自適は、世間のことなどに煩わされず、自分の思うままにゆったりと暮らすことです。

例文:「退職後は、庭仕事を楽しみながら悠々自適に暮らしている。」

忙しく走り回る東奔西走とは、生活の様子が対照的です。

のんびり過ごす

「のんびり過ごす」は、時間に追われず、ゆったりと過ごすことです。

例文:「今日は用事がないので、家でのんびり過ごした。」

東奔西走とは異なり、忙しく移動する様子ではありません。

ただし、これらは厳密に一対一で対応する対義語とは限りません。

東奔西走を使うときの注意点

ただ忙しいだけでは東奔西走とは限らない

東奔西走は、あちこちを忙しく動き回ることが中心です。

例えば、家で一日中勉強して忙しかった場合には、「東奔西走した」とはあまり言いません。

その場合は、「勉強に追われた」「忙しい一日だった」などの方が自然です。

必ず目的を達成するわけではない

東奔西走は、忙しく動き回ることを意味します。

そのため、目的が達成できた場合にも、達成できなかった場合にも使えます。

例文:「資金を集めるために東奔西走したが、必要な金額には届かなかった。」

成功したかどうかは、言葉そのものには含まれていません。

明確な目標がなくても使われることがある

東奔西走は、仕事や用事のために使う場合が多い言葉です。

ただし、明確な目標を持っていることが、必ず必要な条件ではありません。

あちこちせわしなく動き回る様子を表すこともできます。

褒め言葉と決めつけない

東奔西走している人は、一生懸命に働いている場合もあります。

一方で、忙しく動き回ることによって、疲れている場合もあります。

「頑張っているね」と声をかけるだけでなく、必要であれば手伝ったり、休めるように気遣ったりすることも大切です。

東奔西走を英語で表すと?

東奔西走に近い英語表現には、次のようなものがあります。

  • run around:あちこち動き回る。
  • rush from place to place:場所から場所へ急いで移動する。
  • be constantly on the move:絶えず動き回っている。

例えば、次のように言えます。

She was rushing from place to place to prepare for the event.

意味:「彼女はイベントの準備のために、あちこち東奔西走していました。」

英語では、どのような理由で動き回っているのかを添えると、意味が伝わりやすくなります。

親子でチャレンジ!東奔西走の3択クイズ

問題:次のうち、東奔西走の使い方として最も適切なのはどれ?

  1. 「一日中家で静かに読書をしていたので、東奔西走だった。」
  2. 「何もせずにゆっくり休んでいたので、東奔西走していた。」
  3. 「イベントの準備で、スタッフがあちこちを東奔西走していた。」
答えと解説を見る

正解は③です。

東奔西走は、あちらこちらを忙しく走り回ることを意味します。

③は、イベントの準備のためにスタッフが忙しく動き回っているため、適切な使い方です。

①と②は、あちこち動き回っている様子ではないため、東奔西走には当てはまりません。

東奔西走についてのよくある質問

Q. 東奔西走の読み方は?

「とうほんせいそう」と読みます。

Q. 東奔西走の意味は?

仕事や用事などで、あちらこちらを忙しく走り回ることです。

Q. 東奔西走は正式な四字熟語なの?

はい。小学館『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』『四字熟語を知る辞典』などに掲載されています。

Q. 東奔西走の由来は?

東へ西へと忙しく走り回るという、漢字の組み合わせから意味を理解できます。特定の人物や出来事が由来だと断定できる資料は確認できません。

Q. 東奔西走は褒め言葉なの?

必ずしも褒め言葉ではありません。忙しく動き回る様子を表す言葉であり、感謝や評価を表す場合にも、大変さを表す場合にも使われます。

Q. 東奔西走は実際に走っていなくても使える?

はい。車や電車などで移動していても、あちこち忙しく動き回っている場合には使えます。

Q. 東奔西走と右往左往の違いは?

東奔西走は、あちこち忙しく動き回ることです。右往左往は、混乱してあわてながら動き回ることです。

Q. 東奔西走と南船北馬の違いは?

東奔西走は忙しくあちこちを回ること、南船北馬は各地を絶えず旅することに重点があります。

Q. 東奔西走は仕事以外でも使える?

はい。学校行事や家庭の用事、地域の活動など、あちこち忙しく動き回る場面で使えます。

Q. 東奔西走の類義語は?

「東走西奔」「東奔西馳」「南船北馬」などがあります。ただし、言葉によって意味の中心は少しずつ異なります。

まとめ|東奔西走はあちこち忙しく動き回ること

東奔西走の意味や使い方を振り返ってみましょう。

  • 読み方は「とうほんせいそう」。
  • 意味は、あちらこちらを忙しく走り回ること。
  • 「東」と「西」は、反対の方角。
  • 「奔」と「走」は、どちらも走るという意味を持つ。
  • 仕事や用事などで忙しく動き回る場面によく使われる。
  • 車や電車などで移動している場合にも使える。
  • 「東奔西走する」「東奔西走の毎日」などの形で使う。
  • 「右往左往」は混乱して動き回ることに重点がある。
  • 「南船北馬」は各地を忙しく旅することに重点がある。
  • 必ずしも褒め言葉や、成功を意味する言葉ではない。

東奔西走を覚えるポイントは、「東へ西へと、あちらこちらを忙しく走り回ること」です。

学校や家庭、仕事などで、誰かが忙しくいろいろな場所を回っているとき、この言葉を思い出してみてください。

また、「右往左往」「南船北馬」といった似た言葉と比べると、使い方の違いもわかりやすくなります。

四字熟語を覚えると、いつもの出来事を、より短く、正確に伝えられるようになりますね。

参考資料