
一生懸命に作った工作や絵を見て、そんなふうに感じたことはありませんか?
形も色も美しく、工夫もいっぱい。どこにも直したいところが見つからないほど、完成度の高い作品に出会うことがあります。
そんな、あらゆる点で申し分のない様子を表す四字熟語が「十全十美(じゅうぜんじゅうび)」です。
十全十美とは、すべてが十分に整い、欠点がまったくないことです。
この記事では、十全十美の意味や読み方、中国の古典『周礼』に関係する由来、学校や家庭で使える例文をわかりやすく解説します。
「完全無欠」「尽善尽美」との違いや、親子で楽しめる3択クイズも紹介します。
十全十美(じゅうぜんじゅうび)の意味とは?
十全十美は「じゅうぜんじゅうび」と読みます。
あらゆる点で十分に整っていて、欠けたところや欠点がなく、完全で申し分のないことを表す四字熟語です。
例えば、ある発表会で、発表の内容もわかりやすく、準備も行き届き、進行も予定どおりに進んだとします。
その様子を「十全十美な発表会だった」と高く評価する場合があります。
小学生向けにひと言で説明すると?
十全十美とは、「どこにも欠点がないくらい、すべてがすばらしいこと」です。
例えば、次のような場面で使えます。
- 絵の色使いや構図など、どの部分も申し分のない作品が完成した。
- 行事の準備から当日の進行まで、すべてがうまくいった。
- 使いやすさも丈夫さも十分に備えた製品を高く評価した。
- 物事のあらゆる面が整った、理想的な状態について話した。
ただし、何か一つが優れているだけでは、必ずしも十全十美とはいえません。
「すべての点で申し分がない」という意味が大切です。
十全十美は褒め言葉なの?
十全十美は、優れた作品や物事を高く評価するときに使える言葉です。
「十全十美な仕上がりだ」と言えば、欠点が見当たらないほど完成度が高いことを褒めています。
一方、「十全十美な人間はいない」という形でも使います。
これは、すべての面で完璧な人などなかなかいない、という意味です。
十全十美という言葉自体が必ず褒め言葉になるのではなく、文章全体によって使い方が変わります。
十全十美の漢字にはどんな意味がある?
十全十美は、「十全」と「十美」の二つに分けると意味が理解しやすくなります。
「十全」は少しの欠点もなく完全なこと
「十(じゅう)」は、数字の10を表す漢字です。
この四字熟語では、十分に満ち足りていることや、欠けたところがないことを強調しています。
「全(ぜん)」には、すべてそろっている、欠けたところがないという意味があります。
「十全」は、完全で欠点がないことを表す言葉です。
「十美」は美しく申し分のないことを強調する
「美(び)」には、美しい、立派である、優れているといった意味があります。
十全十美の「十美」は、すばらしさや申し分のなさを強調する表現として理解できます。
ここでの「美」は、見た目の美しさだけを意味するわけではありません。
内容や性質なども含めて、優れているという意味で使われます。
二つを合わせると?
「十全」は、欠けたところがなく完全なこと。
「十美」は、すばらしく申し分のないことを強調する表現です。
十全十美は、完全で欠点がなく、あらゆる点で申し分のない状態を表します。
「十」という漢字を二度使って、完全さを強く表しているところも覚えておきましょう。
十全十美の由来は?中国の古典『周礼』との関係
十全十美の由来を考えるときに重要なのが、中国の古典『周礼(しゅらい)』です。
『周礼』は、古代中国の官職や制度などについて記された書物です。
この書物には、「十全」という言葉に関係する古い表現が登場します。
『周礼』にある「十全為上」とは?
『周礼』の「天官・医師」には、次の言葉があります。
「十全為上」
これは、医師の仕事を評価する基準について述べられた表現です。
病気やけがの治療を担当した医師について、どのくらい治療がうまくいったかを評価する内容が記されています。
その中で、十人を治療して十人とも治ることを、最も優れた成績とする考え方が示されています。
つまり、ここでの「十全」は、十人のうち十人すべてが治るという、完全な成果を表しているのです。
「十全」が完全という意味へ
十人全員という意味から、「十全」は欠けたところがないことや、完全であることを表す言葉として使われてきました。
そして「十全十美」は、すべてが十分に整い、美しく申し分のないことを表す四字熟語として使われています。
台湾教育部の『成語典』でも、『周礼』にある「十全為上」が、十全十美の由来に関係する表現として紹介されています。
『周礼』に「十全十美」の四文字があるの?
ここで注意したいことがあります。
『周礼』に確認できるのは「十全為上」という表現です。
「十全十美」という四字熟語が、そのまま『周礼』に書かれているという意味ではありません。
また、誰がいつ「十全」と「十美」を組み合わせて、現在の四字熟語にしたのかも、この資料だけでは特定できません。
『周礼』の「十全為上」は、十全十美の「十全」に関係する古い表現です。四字熟語全体の成立時期とは区別して覚えましょう。
十全十美の使い方と例文
十全十美は、「十全十美な作品」「十全十美の仕上がり」「十全十美とはいえない」などの形で使います。
学校生活での例文
- 「みんなで準備した文化祭は、十全十美といえるほどすばらしい仕上がりだった。」
- 「その絵は構図も色使いも申し分なく、先生から十全十美の作品だと褒められた。」
- 「発表内容はよかったけれど、時間を超えてしまったので、十全十美とはいえなかった。」
- 「初めから十全十美を目指しすぎず、まずは作品を完成させよう。」
家庭や日常生活での例文
- 「家族で考えた旅行の計画は、移動時間も休憩もよく考えられ、十全十美に近い内容だった。」
- 「父が作った料理は、見た目も味もすばらしく、十全十美の出来だと家族が喜んだ。」
- 「十全十美な人間はいないのだから、小さな失敗だけで自分を責めなくてもいい。」
- 「新しい家を考えるとき、十全十美を求めるだけでなく、予算とのバランスも大切にした。」
仕事や大人の会話での例文
- 「この企画は内容も準備も十分に整っており、十全十美に近い完成度だ。」
- 「十全十美な計画を立てたつもりでも、実行する中で課題が見つかることがある。」
- 「新製品は使いやすさと品質の両方を追求したが、まだ十全十美とはいえない。」
- 「十全十美を目指して改善を続ける姿勢が、品質の向上につながった。」
親子で会話してみよう!十全十美の使い方
会話① 図工の作品を見て
子:「この絵、色も形もすごくきれいだね!」
親:「本当だね。どの部分も申し分ないと思うなら、十全十美の作品だと表現できるよ。」
子:「なるほど!全部がすばらしいってことなんだね。」
会話② テストの結果について
子:「テストで一問間違えちゃった。完璧じゃなかった……。」
親:「十全十美ではなかったかもしれないけれど、頑張ったところもたくさんあるよ。」
子:「そうだね。間違えたところを復習してみる!」
会話③ 家族のお出かけで
子:「今日は予定どおりにいかなかったけど、楽しかったね!」
親:「うん。十全十美な一日でなくても、楽しい思い出は作れるね。」
子:「完璧じゃなくても、いいことはいっぱいあるんだね!」
十全十美と完全無欠の違いは?
十全十美と似た四字熟語に、「完全無欠(かんぜんむけつ)」があります。
完全無欠は欠点や不足がないこと
完全無欠は、欠点や不足しているところがまったくないことです。
例文:「どの条件も満たした、完全無欠な計画を立てようとした。」
欠けたところがないという意味を、強く表します。
十全十美はすべてが申し分ないこと
十全十美も、欠点がまったくないことを意味します。
さらに、「美」という漢字を含むことで、美しさや優れた状態を感じさせる表現です。
例文:「その作品は、形も色も完成度も申し分なく、十全十美と評された。」
ただし、二つの四字熟語は意味が非常に近く、厳密に使い分けなければならないわけではありません。
十全十美と尽善尽美の違いは?
「尽善尽美(じんぜんじんび)」も、十全十美に近い意味を持つ四字熟語です。
尽善尽美は善と美を尽くすこと
尽善尽美は、善いところも美しいところも十分に備わり、申し分のないことを表します。
例文:「その演奏は技術だけでなく表現もすばらしく、尽善尽美と評された。」
十全十美は欠点のなさを強調する
十全十美は、あらゆる点で十分に整っており、欠点がないことを表します。
尽善尽美と意味が大きく重なるため、文章の内容に応じて使い分けます。
それぞれの違いを、表で整理してみましょう。
| 言葉 | 意味の中心 |
|---|---|
| 十全十美 | あらゆる点で完全で、申し分がないこと |
| 完全無欠 | 欠点や不足がまったくないこと |
| 尽善尽美 | 善さも美しさも十分に備わっていること |
十全十美・完全無欠・尽善尽美は、どれも申し分のない状態を表す、意味の近い四字熟語です。
十全十美と反対の意味に近い言葉
美中不足(びちゅうふそく)
美中不足は、全体としてはよいものの、少し残念な点があることです。
例文:「発表はすばらしかったけれど、声が少し聞き取りにくかったのが美中不足だった。」
十全十美が欠点のない状態を表すのに対し、美中不足は、よいものの中にわずかな欠点があることを表します。
不完全(ふかんぜん)
不完全は、十分に整っていなかったり、欠けている部分があったりすることです。
例文:「説明が不完全だったので、必要な情報を書き足した。」
十全十美とは対照的な状態です。
ただし、美中不足も不完全も、あらゆる場面で完全に対応する対義語というわけではありません。
十全十美を使うときの注意点
少し優れているだけでは大げさになることもある
十全十美は、すべてが申し分ないことを表す、非常に強い言葉です。
例えば、料理の味がおいしいだけなら、「おいしい」「味がすばらしい」と表現する方が自然な場合があります。
十全十美を使うときは、いろいろな面で欠点がないと評価しているかどうかを考えましょう。
人に完璧さを求めすぎない
人には得意なことも、苦手なこともあります。
誰かに対して、何もかも十全十美であることを求めると、相手に大きな負担をかけてしまうことがあります。
また、自分自身についても、少しの失敗も許せないと考える必要はありません。
できたことを認めながら、必要なところを少しずつ改善していくことも大切です。
十全十美と十人十色は意味が違う
「十」という漢字が使われる四字熟語に、「十人十色(じゅうにんといろ)」があります。
十人十色は、人によって考え方や好みなどがそれぞれ異なることを表します。
十全十美は、欠点がなく完全であることです。
同じ「十」を使っていても、言葉全体の意味はまったく異なります。
「十全十備」と書かないようにしよう
正しい表記は「十全十美」です。
最後の漢字は「備」ではなく、「美」です。
「全」は完全、「美」は美しさや優れたこと、と漢字の意味と一緒に覚えると間違えにくくなります。
十全十美を英語で表すと?
十全十美に近い英語表現には、次のようなものがあります。
- perfect:完璧な。
- flawless:欠点のない。
- faultless:非の打ちどころがない。
- perfect in every way:あらゆる点で完璧な。
例えば、次のように表現できます。
The performance was flawless.
意味:「その演奏は、欠点が見当たらないほどすばらしかった。」
また、「十全十美な人はいない」と言いたいときは、次のような表現もできます。
Nobody is perfect.
意味:「完璧な人はいません。」
英語では、どのような点が優れているのかによって、適切な表現を選びましょう。
親子でチャレンジ!十全十美の3択クイズ
ここまで学んだことを、クイズで確かめてみましょう。
問題:十全十美の意味として最も適切なのはどれ?
- 「人によって好みや考え方が違うこと。」
- 「すべてが整っていて、欠点がまったくないこと。」
- 「最初はよくても、最後は勢いがなくなること。」
答えと解説を見る
正解は②です。
十全十美とは、あらゆる点で十分に整い、欠点がまったくないことです。
①は「十人十色」、③は「竜頭蛇尾」に近い意味です。
「十全」の完全さと、「十美」の申し分のなさを合わせて覚えましょう。
十全十美についてのよくある質問
Q. 十全十美の読み方は?
「じゅうぜんじゅうび」と読みます。
Q. 十全十美の意味は?
すべてが十分に整い、欠点がまったくなく、申し分のないことです。
Q. 十全十美は四字熟語なの?
はい。中国語でも使われている成語で、日本語でも欠点がなく完全な状態を表す四字熟語として紹介されています。
Q. 十全十美の由来は?
中国の古典『周礼』にある「十全為上」という表現が、由来に関係すると説明されています。ただし、『周礼』に「十全十美」の四文字がそのまま登場するわけではありません。
Q. 十全十美は褒め言葉なの?
完成度の高い作品や物事を評価するときには褒め言葉として使えます。ただし、「十全十美ではない」のように、完璧ではないことを説明する使い方もあります。
Q. 十全十美と完全無欠の違いは?
どちらも欠点がないことを意味します。完全無欠は欠点や不足がないこと、十全十美はあらゆる点で申し分がないことを表し、意味は非常に近い言葉です。
Q. 十全十美と尽善尽美は同じ意味?
非常に近い意味を持っています。尽善尽美は善さと美しさを十分に備えていること、十全十美はすべてが整い欠点がないことを表します。
Q. 十全十美の反対語は?
反対の意味に近い言葉には、「美中不足」「不完全」などがあります。特に美中不足は、全体としてよいものの、少し残念な点があることです。
Q. 十全十美は人に対しても使える?
はい。「十全十美な人はいない」というように使えます。ただし、人に完全さを求めすぎないよう注意しましょう。
Q. 十全十美と十人十色の違いは?
十全十美は欠点がないこと、十人十色は人によって考え方や好みが違うことです。
まとめ|十全十美はすべてが整い、欠点がないこと
十全十美の意味や使い方を振り返ってみましょう。
- 読み方は「じゅうぜんじゅうび」。
- 意味は、あらゆる点で十分に整い、欠点がまったくないこと。
- 「十全」は、完全で欠けたところがないこと。
- 「美」は、美しいことや優れていることを表す。
- 中国の古典『周礼』にある「十全為上」が由来に関係すると説明されている。
- 「十全十美な作品」「十全十美の仕上がり」などの形で使う。
- 「十全十美な人間はいない」のように、完璧ではないことを表す場合にも使う。
- 似た言葉には「完全無欠」「尽善尽美」がある。
- 反対の意味に近い言葉には「美中不足」「不完全」などがある。
- 「十人十色」とは意味が異なる。
十全十美を覚えるポイントは、「すべての点で申し分がなく、欠点がまったくないこと」です。
すばらしい作品や、よく考えられた計画に出会ったとき、この四字熟語を思い出してみてください。
一方で、私たちが何かに挑戦するとき、初めからすべてが完璧である必要はありません。
失敗したところを直したり、工夫を重ねたりすることで、少しずつよいものを作っていくことができます。
十全十美という言葉を知ることで、完成度の高さを表すだけでなく、完璧さとの向き合い方についても考えられますね。