四字熟語

試行錯誤(しこうさくご)の意味とは?由来・例文・創意工夫との違い

「あれ? どうしてうまくいかないんだろう?」

理科の実験で、紙飛行機を遠くまで飛ばそうとした女の子。

最初に作った紙飛行機は、すぐに地面へ落ちてしまいました。

そこで、翼を少し広げてみます。でも、今度は曲がって飛んでしまいました。

「じゃあ、折り方を変えてみよう!」

何度も作り直し、飛ばし方を工夫しているうちに、少しずつ遠くまで飛ぶようになりました。

このように、いろいろな方法を試しながら、うまくいく方法を探すことを表す四字熟語があります。

それが「試行錯誤(しこうさくご)」です。

試行錯誤とは、さまざまな方法を試し、失敗を重ねながら、問題を解決する方法を探していくことです。

この記事では、試行錯誤の意味・読み方・漢字の成り立ち、心理学に関係する由来を、小学生にもわかりやすく解説します。

学校や家庭、仕事で使える例文、「創意工夫」「暗中模索」との違い、親子で楽しめる3択クイズも紹介します。

目次+

試行錯誤(しこうさくご)の意味とは?

試行錯誤は「しこうさくご」と読みます。

ある目的を達成するため、いろいろな方法を試し、失敗や間違いを経験しながら、解決方法を探していくことを意味します。

例えば、新しい工作に挑戦したとき、一度でうまくできるとは限りません。

材料を変えてみたり、組み立てる順番を工夫したり、何度もやり直したりすることがあります。

そんな過程を「試行錯誤を重ねる」と表現できます。

大切なのは、失敗そのものではなく、さまざまな方法を試しながら目的に近づいていくことです。

小学生向けにひと言で説明すると?

試行錯誤とは、「やってみて、うまくいかなかったら別の方法を試し、答えを探していくこと」です。

例えば、次のような場面で使えます。

  • 紙飛行機が遠くへ飛ぶように、何度も折り方を変える。
  • ロボットが正しく動くように、プログラムを修正しながら試す。
  • 植物が元気に育つように、日当たりや水やりの方法を調べて工夫する。
  • 工作がうまく完成するように、材料や作り方を変えてみる。

試行錯誤では、必ず一度失敗したら次は成功するというわけではありません。

何度も試しながら、少しずつ解決方法を探していくこともあります。

試行錯誤の漢字にはどんな意味がある?

試行錯誤は、「試行」と「錯誤」という二つの言葉を組み合わせた四字熟語です。

「試行」は、試しにやってみること

「試(し)」には、ためす、試みるという意味があります。

「行(こう)」には、行う、実行するという意味があります。

つまり「試行」は、試しに何かをやってみることです。

例えば、考えた方法が本当にうまくいくか、実際に試してみることが試行です。

「錯誤」は、間違いや思い違い

「錯(さく)」には、入り交じる、間違えるなどの意味があります。

「誤(ご)」には、間違える、誤るという意味があります。

「錯誤」は、間違いや思い違いのことです。

試行錯誤では、試した方法がうまくいかなかったり、予想と違う結果になったりすることにつながります。

四つの漢字を合わせると?

「試行」は、試しにやってみること。

「錯誤」は、間違いや思い違いのこと。

試行錯誤は、試してみることと、間違いや失敗を経験することを繰り返しながら、解決方法を探すという意味です。

「試す」と「間違う」の二つを覚えておくと、漢字の意味も理解しやすくなります。

試行錯誤の由来は?心理学との関係

試行錯誤は、中国の古い故事から生まれた四字熟語だと思うかもしれません。

しかし、この言葉は、もともと心理学で使われてきた英語「trial and error」に対応する言葉です。

英語の「trial」は試みること、「error」は誤りや間違いを意味します。

これを日本語で表したものが「試行錯誤」です。

アメリカの心理学者ソーンダイクの研究

試行錯誤という考え方に深く関係するのが、アメリカの心理学者エドワード・L・ソーンダイクです。

ソーンダイクは、動物がどのように学習するのかを研究しました。

1898年に発表した研究では、ネコなどの動物を使って、経験を重ねることで行動が変化していく様子を調べています。

ネコと「問題箱」の実験

ソーンダイクは、特定の仕掛けを操作すると扉が開く「問題箱」を使って実験を行いました。

ネコは最初、箱から出ようとして、引っかいたり、動き回ったり、いろいろな行動をします。

その中で、偶然うまく仕掛けを操作すると、扉が開いて箱から出られます。

同じような試みを繰り返すうちに、ネコは脱出に役立つ行動をするようになり、箱から出るまでの時間が短くなっていきました。

ソーンダイクは、このような実験を通して、行動の結果が学習に与える影響を研究したのです。

「試行錯誤学習」とは?

試行錯誤学習とは、いろいろな行動を試すうちに、うまくいく行動が身についていくという学習の仕組みです。

ソーンダイクは、ある行動がよい結果につながると、その行動が繰り返されやすくなると考えました。

この考え方は、後の学習心理学に大きな影響を与えました。

ただし、人や動物の学習が、すべて試行錯誤だけで説明できるわけではありません。

考えたり、見通しを立てたり、他の人から教わったりして学ぶこともあります。

試行錯誤は、いろいろな学び方の一つなのです。

現在は日常生活でも使われている

もともと心理学に関係する言葉だった試行錯誤は、現在では広く使われています。

学校の勉強だけでなく、料理、工作、研究、商品開発、仕事などでも使われる表現です。

「試行錯誤の末に完成した」「試行錯誤を繰り返す」などの形で、目標に向かって工夫する過程を伝えることができます。

試行錯誤の正しい使い方

試行錯誤には、よく使われる言い回しがあります。

「試行錯誤する」

いろいろな方法を実際に試しながら、解決方法を探すときに使います。

例文:「紙飛行機を遠くへ飛ばすために、試行錯誤した。」

「試行錯誤を重ねる」

何度も方法を試し、工夫を続ける場合に使います。

例文:「試行錯誤を重ねて、丈夫な橋の模型を完成させた。」

「試行錯誤の末」

さまざまな方法を試した後に、ある結果へたどり着いたことを表します。

例文:「試行錯誤の末、ようやくロボットが思いどおりに動いた。」

「試行錯誤の連続」

挑戦してはうまくいかないことが続き、何度も方法を変えながら取り組んでいる様子を表します。

例文:「初めてのアプリ開発は、試行錯誤の連続だった。」

試行錯誤の例文|学校・家庭・仕事で使ってみよう

学校生活での例文

  • 「理科の実験で予想と違う結果が出たので、試行錯誤しながら原因を調べた。」
  • 「紙飛行機を遠くまで飛ばすため、折り方を変えて試行錯誤を重ねた。」
  • 「文化祭の飾りつけでは、試行錯誤の末にみんなが納得する配置を見つけた。」
  • 「プログラミングの授業で、試行錯誤しながらゲームを完成させた。」

家庭や日常生活での例文

  • 「料理の味つけを試行錯誤して、家族の好みに合う味を見つけた。」
  • 「部屋の収納方法を試行錯誤しながら、使いやすい配置を考えた。」
  • 「パズルが解けず、いろいろな組み合わせを試行錯誤した。」
  • 「自転車の練習で、体のバランスの取り方を試行錯誤した。」

仕事や社会での例文

  • 「開発チームは試行錯誤を重ね、新しい製品を完成させた。」
  • 「使いやすいウェブサイトを目指して、画面の構成を試行錯誤した。」
  • 「新しい商品の販売方法について、試行錯誤が続いている。」
  • 「研究者たちは試行錯誤の末、実験方法の改善に成功した。」

試行錯誤は、失敗したことだけでなく、さまざまな方法を試して改善していく過程に注目する言葉です。

親子で会話してみよう!試行錯誤はこんな場面

会話① 紙飛行機を飛ばそう

子:「紙飛行機がすぐ落ちちゃうよ。」

親:「翼の形を変えると、どうなるかな?」

子:「やってみる! あれ、今度は少し遠くまで飛んだ!」

親:「そうやっていろいろな方法を試すことを、試行錯誤というんだよ。」

会話② 失敗したらどうする?

子:「工作で失敗したから、もうできないかも。」

親:「どこがうまくいかなかったか、一緒に見てみようか。」

子:「この部分がぐらぐらしているんだ。」

親:「じゃあ、材料や組み立て方を変えて試してみよう。」

子:「試行錯誤して、もっと丈夫にできるかもしれないね!」

会話③ 試行錯誤は必ず成功する?

子:「何回も試行錯誤すれば、絶対に成功するの?」

親:「必ず成功するとは限らないよ。でも、試した結果から新しくわかることもあるんだ。」

子:「うまくいかない理由を調べるのも大切なんだね。」

親:「そうだよ。必要なときは人に相談したり、やり方を調べたりするのもいいね。」

試行錯誤と創意工夫の違いは?

試行錯誤と似ている四字熟語に「創意工夫(そういくふう)」があります。

どちらも、目標に向かってよりよい方法を考えるときに使われます。

試行錯誤は実際に試しながら解決方法を探すこと

試行錯誤は、いろいろな方法を試し、失敗などの経験を重ねながら、解決方法を探すことです。

例文:「何度も試行錯誤して、丈夫な模型を作った。」

試したり、間違えたりする過程に重点があります。

創意工夫は新しい方法を考えて工夫すること

創意工夫は、新しい考えや方法を生み出し、よりよくなるよう工夫することです。

例文:「材料を上手に組み合わせ、創意工夫を凝らした作品を作った。」

自分なりの新しいアイデアや工夫に重点があります。

違いを比較表で確認しよう

四字熟語 意味の中心
試行錯誤 さまざまな方法を試し、失敗を重ねながら解決方法を探すこと
創意工夫 新しい考えや方法を生み出し、よりよくなるよう工夫すること

試行錯誤は「試して学ぶこと」、創意工夫は「新しいアイデアや方法を考えること」に重点があります。

実際には、新しいアイデアを考え、それを試しながら改善することもあります。

そのため、一つの活動に試行錯誤と創意工夫の両方が含まれる場合もあります。

試行錯誤と暗中模索の違いは?

「暗中模索(あんちゅうもさく)」も、解決方法が見つからないときによく使われる四字熟語です。

暗中模索は手がかりがない中で探すこと

暗中模索は、暗闇の中で手探りするように、見通しや手がかりがない状態で、解決方法を探ることです。

例文:「初めての仕事で何から始めればよいかわからず、暗中模索していた。」

何をすればよいかわからない、手がかりの少なさに重点があります。

試行錯誤は方法を実際に試すこと

試行錯誤は、さまざまな方法を試したり失敗したりしながら、解決方法を探すことです。

例文:「いくつかの方法を試行錯誤した結果、作業の効率がよくなった。」

暗中模索している中で、試行錯誤を繰り返すこともあります。

暗中模索は「手がかりがない状態」、試行錯誤は「実際に試して探す過程」に注目すると、違いがわかりやすくなります。

試行錯誤の類義語・似ている言葉

創意工夫(そういくふう)

新しい考えや方法を生み出し、よりよくなるよう工夫することです。

例文:「創意工夫を凝らして、新しい作品を完成させた。」

暗中模索(あんちゅうもさく)

手がかりがない中で、解決方法を探すことです。

例文:「解決の糸口を探して、暗中模索する日々が続いた。」

悪戦苦闘(あくせんくとう)

困難な状況の中で、苦労しながら物事に取り組むことです。

例文:「初めてのプログラミングに悪戦苦闘した。」

試行錯誤が方法を試すことに重点を置くのに対し、悪戦苦闘は苦労や困難の大きさに重点があります。

試行錯誤と反対の意味に近い表現

試行錯誤に、必ず一対一で対応する四字熟語の対義語があるわけではありません。

ここでは、対照的な意味を持つ表現を紹介します。

一度で成功する

何度も試すことなく、最初の挑戦で目的を達成することです。

例文:「十分に準備したので、実験は一度で成功した。」

順調(じゅんちょう)

物事が大きな問題もなく、予定どおりに進むことです。

例文:「計画は順調に進み、予定どおり完成した。」

ただし、試行錯誤をしているからといって、必ず物事が順調ではないという意味ではありません。

試行錯誤を使うときの注意点

ただ失敗しただけでは試行錯誤とは限らない

試行錯誤は、単に失敗することではありません。

いろいろな方法を試しながら、目的を達成するための方法を探すことです。

失敗を繰り返しているだけで、方法を探したり試したりしていない場合は、「失敗が続いている」と言う方が自然なこともあります。

必ず成功するという意味ではない

試行錯誤しても、すぐには解決方法が見つからないことがあります。

例えば、「試行錯誤を重ねているが、まだ解決策は見つかっていない」という文章も自然です。

試行錯誤は、成功が決まっていることを表す言葉ではありません。

「思考錯誤」と書かないようにしよう

正しい四字熟語は「試行錯誤」です。

  • 正しい表記:試行錯誤
  • 誤った表記:思考錯誤
  • 誤った表記:試行錯悟

「思考(しこう)」は考えることです。

一方、「試行(しこう)」は試しに行うことです。

読み方が同じなので、漢字変換するときには注意しましょう。

試す前に安全を確認しよう

試行錯誤は、いろいろな方法を試すことですが、危険な方法まで試してよいという意味ではありません。

特に実験や工作などでは、先生や大人の指示を守り、安全な方法で取り組みましょう。

失敗を振り返ることや、人に相談することも大切です。

試行錯誤を英語で表すと?

試行錯誤は、英語で「trial and error」と表現します。

「trial」は試み、「error」は誤りという意味です。

例えば、次のように言えます。

We learned through trial and error.

意味:「私たちは試行錯誤を通して学びました。」

また、次のようにも表現できます。

After much trial and error, she found a solution.

意味:「何度も試行錯誤した末に、彼女は解決方法を見つけました。」

試行錯誤は、英語から意味を知ると覚えやすい四字熟語でもあります。

親子でチャレンジ!試行錯誤の3択クイズ

ここまで学んだことを、クイズで確かめてみましょう。

問題:試行錯誤の意味として最も適切なのはどれ?

  1. 「何も試さず、誰かが答えを教えてくれるまで待つこと。」
  2. 「一度決めた方法を、結果にかかわらず変えないこと。」
  3. 「いろいろな方法を試し、失敗を重ねながら、解決方法を探すこと。」
答えと解説を見る

正解は③です。

試行錯誤は、さまざまな方法を試し、失敗や間違いを経験しながら、解決方法を探すことです。

①は、実際に方法を試していないので違います。

②は、結果を見ても方法を変えないことなので、試行錯誤の意味とは異なります。

③の「試す」「失敗する」「別の方法を探す」という流れを覚えておきましょう。

試行錯誤についてのよくある質問

Q. 試行錯誤の読み方は?

「しこうさくご」と読みます。

Q. 試行錯誤の意味は?

さまざまな方法を試し、失敗を重ねながら、解決方法を探していくことです。

Q. 試行錯誤は正式な四字熟語なの?

はい。小学館『四字熟語を知る辞典』や、日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』にも掲載されている四字熟語です。

Q. 試行錯誤の由来は?

英語の「trial and error」に対応する言葉で、もともとは心理学で使われていました。アメリカの心理学者ソーンダイクの研究とも深い関係があります。

Q. 試行錯誤は褒め言葉なの?

方法を工夫しながら粘り強く取り組んだことを、前向きに評価するときにも使われます。ただし、必ず褒め言葉になるわけではなく、文脈によって意味合いが変わります。

Q. 試行錯誤は失敗することと同じ?

いいえ。失敗するだけではなく、いろいろな方法を試しながら、解決方法を探すことに意味があります。

Q. 試行錯誤は成功しなくても使える?

はい。まだ解決方法が見つかっていなくても、「試行錯誤を続けている」などの形で使えます。

Q. 試行錯誤と創意工夫の違いは?

試行錯誤は実際に方法を試すこと、創意工夫は新しい考えや方法を生み出して工夫することに重点があります。

Q. 試行錯誤と暗中模索の違いは?

試行錯誤は、いろいろな方法を試して解決方法を探すことです。暗中模索は、手がかりや見通しがない中で方法を探すことです。

Q. 「思考錯誤」と書いてもいいの?

いいえ。正しい表記は「試行錯誤」です。「思考」は考えることですが、「試行」は試しに行うことを意味します。

まとめ|試行錯誤はさまざまな方法を試して答えを探すこと

試行錯誤の意味や使い方を振り返ってみましょう。

  • 読み方は「しこうさくご」。
  • 意味は、さまざまな方法を試し、失敗を重ねながら、解決方法を探すこと。
  • 「試行」は、試しに行うこと。
  • 「錯誤」は、間違いや思い違いのこと。
  • 英語の「trial and error」に対応する言葉で、心理学とも関係が深い。
  • 「試行錯誤を重ねる」「試行錯誤の末」などの形で使う。
  • 学校・家庭・仕事・研究など、幅広い場面で使われる。
  • 似た四字熟語には「創意工夫」「暗中模索」「悪戦苦闘」などがある。
  • 「思考錯誤」「試行錯悟」は誤った表記。
  • 試行錯誤は、必ず成功することを意味するわけではない。

試行錯誤を覚えるポイントは、「やってみて、うまくいかなかったら別の方法を試し、答えを探していくこと」です。

紙飛行機を遠くへ飛ばすとき、工作を完成させるとき、難しい問題を解くとき。

最初からうまくいくこともあれば、何度も方法を変える必要があることもあります。

うまくいかなかった経験から、次に試したいことが見えてくる場合もあります。

そんな過程を表す「試行錯誤」という四字熟語を、ぜひ覚えてみてくださいね。

参考資料